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地球上で度々発生している大量絶滅。恐竜を根絶やしにした白亜紀末、今から6550万年前の絶滅が有名ですが、これを超える史上最大の絶滅とされるペルム紀末の大量絶滅に関して新たな証拠が見つかったと報じられています。

今から2億5000年前、ペルム紀末に発生したのは前代未聞の大量絶滅でした。推定として地球上のありとあらゆる生物の90~95%が絶滅するという規模で現在地球上で発生した大量絶滅の中で最大と考えられています。

一体何が原因でこれほどの規模の大量絶滅が発生したのかは正確には分かっていないのですが、その一つとして火山の噴火説が有力視されています。これは今回発表された研究からも火山説を裏付けるものになっています。

Scientific Reportsに掲載された論文によるとニューヨーク大学の研究者はこれまで言われていたように現在のロシア中部、シベリアで桁違いな火山が発生しこれに含まれていたニッケルが大気中に拡散、また大量の二酸化炭素とメタンが大気中に噴出したことで大規模な温暖化を引き起こしたというものです。温室効果ガスにより気温が大幅に上昇し当時の平均気温は23℃になり6億年前から現在まで最も高い気温になったとされています。

▼ペルム紀末に形成されたシベリア・トラップ、台地玄武岩(溶岩)が広がるエリア
シベリア・トラップ

地殻に留まる大量のニッケルは火山から噴出したマグマに含まれており極めて大規模な噴火がここで発生した証拠だとしています。この異常な量のニッケルはニューヨーク大学が行ったICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)という希少元素の量を原子レベルで測定可能なものによると現在の北極からインドにまで広がるという規模だったとしています。

ロシアといえば鉱物の地下資源が豊かな国で知られているのですがもちろんニッケルも含まれ、ノリリスク-タルナフ鉱床という世界最大のニッケル・銅・パララジウム鉱床があります。これがペルム紀末の超巨大噴火により形成された鉱床と考えられており現代の人類活動に貢献しています。

私達人体にも残るペルム紀末の大量絶滅

ペルム紀末の大量絶滅は地球上の生物にとっては極めて深刻な影響を与えたものの大量絶滅から僅かな期間で生態系は急速に復活していったと言われています。
またこの大量絶滅では地球環境が低酸素状態に陥ったことも知られているのですが、この時代に横隔膜による呼吸方法を身に着けていた種が生き残り後に私達人間を代表する哺乳類の祖先となっています。一方、同じく低酸素を『気嚢』により効率的に酸素を取り入れることができた生き残りは恐竜となり現在は鳥類という形でその姿を見ることができます。