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宇宙飛行士が宇宙空間に出る船外活動があります。これらはすべて宇宙服を着用した上で行われるのですが、アメリカのドレイパー研究所はその宇宙服に搭載する装置として宇宙飛行士を自動で宇宙船に帰還することができる装置の開発を行っていると報じられています。

宇宙飛行士が宇宙空間に放り出される恐怖……というのは映画や小説で繰り返し描写されてきましたが、現在チャールズ・スターク・ドレイパー研究所(以降、ドレイパー研究所)は、宇宙服に搭載する「家(宇宙船)に帰るボタン(Take Me Home)」を開発しています。また、この研究にはNASAが出資しています。

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NASAが運用している宇宙服は『船外活動ユニット(EMU)』と呼ばれています。EMUを着用した宇宙飛行士は船外活動を行う際は何らかの手違いで宇宙空間に飛ばされてしまわないよう必ずテザーと呼ばれる命綱を使い船体側と繋げ作業を行っています。

そのEMUには何らかの拍子でテザーが外れてしまい宇宙空間に飛び出してしまった際に使用する緊急用の『SAFER』という装置が搭載されてます。これは窒素ガスを噴射することで宇宙船に戻る事ができるという装置なのですが、今回報じれたTake Me Homeは宇宙飛行士が手動で行うSAFERの操作を自動で行うというものになっています。

▼VRで行うSAFERの操作

Take Me HomeについてはNASAも出資しているものの現時点で開発の目処は立っておらず、宇宙服に搭載できる日がいつになるのかも未定です。SAFERについては操作が難しく習得に時間がかかることもあり手動ではなく自動にすることが望ましいという理由もあるそうです。

行われなくなった命綱無しの宇宙遊泳


宇宙関連の映画では宇宙飛行士が命綱無しの宇宙遊泳を行っている場面が未だに登場しますが、現在そのような宇宙遊泳は一切行われていません。この手の映画では過去にNASAが実際に運用していた有人機動ユニット(MMU)が写し出されている場合が多いものの、実用的ではない上に命綱無しという行為が極めて危険であると認識され1986年にスペースシャトルのチャレンジャー事故以降に廃止さました。

その後、MMUを簡略化したものが『SAFER』で非常用の装置となりました。SAFERを用いた命綱なしの試験は1994年9月を最後に実施されておらず96年、97年に試験として宇宙空間で確認試験が行われました。SAFERは現在運用されているNASAの宇宙服にはすべて搭載されています。