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宇宙に限らず人間が文明的な生活を送るには電力は必要不可欠ですが、アメリカ航空宇宙局(NASA)は長期間使用できる電源『Kilopower』の開発を続けています。この電源は10年間、10キロワットの電力を安定供給できる性能があるとしています。

アメリカを中心に今後月そして火星への有人探査が実施されようとしているのですが、そこで問題となるのが電力の確保です。地球から月を見てもわかるように満ち欠けしており地上に設置した太陽光発電では安定した電力供給は望めません。

そこでNASAはアメリカ合衆国エネルギー省と共同で環境に左右されず電力を供給することができる『Kilopower(キロパワー)』の開発を続けており、近く連続使用に向けた試験を実施すると発表しています。

Kilopower: What’s Next? | NASA



Kilopowerはどのようにして電力を供給し続けるのでしょうか。NASAによると『宇宙用核分裂システム』としており本体には放射性元素『ウラン235』が内蔵されています。このウラン235が原子核崩壊の際に発生する熱をナトリウムヒートパイプで受け取り、その熱でスターリングエンジンを稼働させることで私達が利用できる電気に変換させます。出力は1~10キロワットとしています。
同様のシステムは深宇宙探査機、例えばボイジャーや火星探査車などでは放射性元素から熱を取り出し熱電素子で電気に変換する『原子力電池』が搭載されているものがあります。

NASAとしてはKilopowerを火星で照明など生活に利用する以外も水や酸素を作る電源として、月面では太陽光が届かないクレーター内部の資源調査に、またそれ以外では深宇宙探査などでも応用を考えているとのことです。

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