マーズ・エクスプロレーション・ローバー

地球よりも遥かに寒く、1日の気温差が40度ほどあり、高い放射線量に晒され更にチリが降り積もる環境で14年間ノーメンテナンスで動くロボット。火星探査車『オポチュニティ』は火星着陸から14周年を迎えました。

NASAは2018年2月16日(現地時間)、火星探査車「オポチュニティ」が5000火星日(sol)の滞在を達成したことを発表しました。2003年7月に「デルタII」ロケットによって打ち上げられ、2004年1月に火星に降り立ったオポチュニティ。当初のミッション期間は90火星日に設定されていたのですから、その数字を遥かに超える長寿命っぷりには驚かされます。

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2004年1月25日午前5時5分(アメリカ時間)、火星の赤道付近にあるメリディアニ平原に降り立ったのはNASAが打ち上げた火星探査車探査車マーズ・エクスプロレーション・ローバーB『オポチュニティ』です。太陽光発電によりカメラや車輪を動かし続け、先月着陸14周年(15年目)を迎えました。

▼オポチュニティの打ち上げ


火星を題材とした映画で『sol(ソル)』という言葉を目にしたことがある方も多いと思うのですが、これは『火星の1日を1sol』といいます。火星の1日は24時間39分35秒、つまり地球の1日よりも39分35秒長い程度で、オポチュニティの設計寿命は90solとしていました。つまり地球の日数で約90日は動いてほしいという設計がされていたというものなのですが、恐ろしいほどの耐久性を見せ、なんと着陸から5
,000solが経った現在も元気に動き続けています


これまでの走行距離は45kmに達しています。これは地球以外の天体における走行距離の記録として旧ソ連のルナホート2号(1973年6月停止)の37kmを超えています。ルナホート2号については2013年に月探査機LROが軌道上のカメラからは公式記録よりも4km長い約42km走行していたことも明らかになっています。

オポチュニティはゆく先々で撮影や科学的な調査を行っており、数々の素晴らしい写真を撮影し地球に送信しています。

NASA - Image Gallery

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フルサイズ版

火星探査車については双子の『スピリット』がオポチュニティよりも先に打ち上げられ火星に着陸しています。しかし、「トロイ」と呼ばれる砂地にはまり以降、身動きが取れなくなり2010年に通信が断絶。機能を停止しました。
スピリットはどうすれば救助することができるのかNASAの職員が地上で模擬装置を作り入念に操作を行ったものの、結局助け出すことはできませんでした(参考)。オポチュニティについても一時身動きが取れなくなる事態に陥ったことがあるものの、こちらは脱出することができ現在に至ります。

現在火星には後輩の重量900kgの『キュリオシティ』が送り込まれ探査が実施されています。キュリオシティに比べると重量が185kgしか無い小型のローバーなのですが活躍が今後も期待がされています。

▼NASAが送り込んだ歴代火星探査車。
中央 ソジャーナ・ローバー (1997年7月着陸 重量10.6kg)
左 マーズ・エクスプロレーション・ローバー  (2004年1月着陸 重量185kg)
右 キュリオシティ (2012年8月着陸 重量900kg)
歴代火星探査車