アルファステーション

アメリカの民間企業『ビゲロー・エアロスペース』は開発を進めている膨張式モジュール『B330』を2つ接続した宇宙ステーションモジュールを2021年に打ち上げると発表しました。

Space.comによると今月20日、ビゲロー・エアロスペースは民間宇宙ステーションを管理するBigelow Space Operations(BSO:ビゲロー・スペース・オペレーション)を設立したと発表しました。BSOに関しては昨年設立されたものの、先月より従業員の募集をはじめ最終的に400~500人の規模にしていくとしています。

Bigelow Aerospace Launches New Company to Operate Private Space Stations

このBSOが管理していくのは世界初の民間宇宙ステーション『アルファステーション』です。これはビゲロー・エアロスペースが中心となりロケット製造大手ユナイテッド・ローンチ・アライアンスと共同開発していた膨張式モジュール『B330』2基で構成されるものです。これを2021年に打ち上げます。

▼B330(実物大模型)
B330

B330は空気で膨らませることで居住空間を広げることができる質量20トンのモジュールで、拡張後のサイズは全長13.7m、直径6.7m、330立法メートルの大きさになります。これを2つ接続することで合計660立法メートルという広い空間を確保します。
過去に発表された資料によると、B330は1基あたりトイレや衛生施設を含む環境制御生命維持システムにより乗員6名まで居住できます。またドッキングポートや観測用の窓なども搭載可能で金属製のモジュールと同じような運用を行うことができます。
現在ビゲロー・エアロスペースが開発した膨張式モジュール「BEAM」が国際宇宙ステーションに接続されており、数年間の運用試験が実施されています。(参考)

同社としてはこのモジュールを打ち上げ観測の拠点や宇宙旅行としても運用が可能としているものの、宇宙旅行者はそこまで多くはならないだろうと話しています。また滞在日数などは明らかになっていないものの旅費は7桁台の価格、つまり数万ドルになると話しており、日本円では数億円~10億円以下になるとしています。
この価格に打ち上げ費用等は入っているのかは不明なのですが、一方でロシアは国際宇宙ステーションのモジュールに1~2週間滞在できるプランとして全て込みで4,000万ドル(約45億円)で販売する計画が発表されています。(参考)

いずれにしてもスペースXやボーイングが開発している民間宇宙船の運用が始まらない限りこの宇宙ステーションの維持は不可能であり宇宙船の開発の遅れでこちらの打ち上げも遅れてくるということになります。

ビゲロー・エアロスペース及びビゲロー・スペース・オペレーションはアメリカの大富豪ロバート・ビゲロー氏が設立した企業です。年齢は70歳を超えているものの宇宙が大好きな人物で、CBSテレビに出演した時には膨張式宇宙ステーションモジュール『BEAM』の説明を始めたと思ったら話しは直ぐにそれ始め「地球外知的生命体は存在する!」などと主張を初めたことが話題となっていました。(参考)