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軍事、商業衛星の打ち上げから宇宙飛行士の打ち上げまで行っているソユーズロケット。その最新型ソユーズ2ロケットの一つとして開発されたソユーズ 2.1vが先月末に打ち上げられました。今回は打ち上げの様子と、ソユーズロケットでは珍しい形をしているこのロケットについて紹介していきます。

モスクワ時間先月29日、ロシアの首都モスクワからさらに北に800km、プレセツク宇宙基地から打ち上げられたのはソユーズ 2.1v(Союз 2 1В)というロケットです。このロケットは2013年に開発された機種で今回で5回目の打ち上げとなりました。


こちらが今回打ち上げられたソユーズ 2.1v 5号機です。
ソユーズロケットは通常のタイプであればコアロケットを囲むように4つの補助ロケットが搭載されています。打ち上げ時はコアロケットと4本の補助ロケットを燃焼させ離陸するのですが、ソユーズ 2.1vは補助ロケットを搭載していません。

補助ロケットが無いことで打ち上げコストは安くなるものの打ち上げ能力も下がります。そのためソユーズ 2.1vではエンジンを高出力のものに置き換えられました。これにより地球低軌道、高度200kmに2.8トン程度の打ち上げ能力があります。(比較としてJAXAの強化型イプシロンでは高度250kmに1.5トンとなっています)


もう少し掘り下げて紹介するとソユーズ 2.1vは開発中は『ソユーズ-1』などと呼ばれていました。シリーズとしてはソユーズ2.1Bの派生型となっているものの搭載されているエンジンが異なっており、ソユーズ 2.1Bは『RD-108A』を1基搭載しているのに対しソユーズ 2.1vはより強力なNK-33を1基搭載しています。

▼ソユーズ 2.1v。1つのエンジンに1つのノズル。その周囲に姿勢制御用の4つのノズル。
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▼ソユーズ 2.1B。4つの補助ロケットに中央のコアロケット。コアロケットにはターボポンプ1基に対し4つのノズル。そして4つの姿勢制御のノズルが確認できます。コアロケットの胴体の形状はくびれています。
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このNK-33は旧ソ連が月面有人着陸を目指し開発されたN-1ロケット用のものであり現在は製造されておらず将来的にはRD-193に置き換えられる予定です。ソユーズ 2.1vに関しては通常のソユーズロケットのように補助ロケットを搭載する計画も進められているとのことです。