冥王星

風によって砂が運ばれ堆積することで形成されるのは砂丘です。これには大気と風が必要なのですが、ほとんど大気がない冥王星で砂丘が確認されたと報じられています。

冥王星の極寒の平原では不可思議なことが起きている。数百の隆起が等間隔で並んでいる様子は、巨大な地球外生命体が氷の表面に残した指紋のようにも見える。研究者はこのほど科学誌『サイエンス』に、この奇妙な地形はメタンの「砂」でできた砂丘であると報告した。

これは驚くべき発見だ。砂丘は風の作用によって形成される地形だが、科学者たちは、冥王星では大気が希薄なため、砂丘を形成するほど強い風は吹かないだろうと考えていたからだ。

NATIONAL GEOGRAPHIC
地球上ではそう珍しいものではない砂丘。一方太陽系では地球の約1/100程度の大気圧しかない火星でも同様の砂丘が確認されています。そんな砂丘が月よりも小さく大気もほとんど無い準惑星『冥王星』で凍ったメタンの氷粒から形成されたものが初めて確認されました。

これは2015年、人類で初めて近距離から冥王星の観測を行ったNASAの探査機「ニューホライズンズ」が撮影した写真の中に映し出されていました。冥王星全体を撮影した写真にはハート型に見える白っぽい地表が確認されていたのですが、砂丘が見つかったのはその地表の西側、『スプートニク平原』と名付けられたエリアです。

▼2015年に公開されていたスプートニク平原、平地には砂丘のようなものが確認できる
冥王星_1

記事によると、形成された砂丘の形から写真では左側に見える山脈から吹き下ろした風により作られたたのではないかと予想しています。ではこの風はどのようにしてつくられたのでしょうか。
科学者によると、山脈やメタンの氷原に太陽光が当たるとメタンの氷が気体になり、空中に浮かんだ気体が丘を下るように流され秒速8~11メートルの卓越風(季節風のようなもの)となり砂丘を形成のではないかと考えています。

研究者によると直径が月よりも小さくわずか1,200km程度しかなく、大気圧は地球の約1/100,000ほどしかない冥王星でも砂丘を形成することができるということは例えば他の小惑星でも同様の地形が形成されている可能性があると指摘しています。