2025年の完成に向けて今月建設が開始されたのは巨大マゼラン望遠鏡と命名された地上設置型の超大型望遠鏡です。今回は世界最大の望遠鏡について紹介していきます。
天文学では最先端技術は、しばしばブルドーザーや巨大な岩、ダンプとともに始まる。巨大マゼラン望遠鏡(Giant Magellan Telescope:GMT)の建設が進められている。世界最大かつ最強の望遠鏡で、2024年に「ファーストライト(最初の観測)」の予定。天文学者たちはGMTを使って、宇宙の成り立ちを研究したり、地球外生命のサインを探すつもりだ。地球上でこの手の大型望遠鏡が設置される大気が薄い山頂付近で、かつ安定した観測が可能な地域などいくつか条件があります。巨大マゼラン望遠鏡が建設されるのはこのような条件を満たしたチリ共和国にあるワシントン・カーネギー協会が所有し運用する天文観測施設ラスカンパナス天文台です。
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建設される巨大マゼラン望遠鏡はどのような規模の望遠鏡になるのか、記事によると建設費は10億ドル(約1100憶円)で天文台は合計で900トンの重量になるとしています。その心臓部となる望遠鏡は高さ22回建ての大きさで幅は56mに達するというサイズです。
この望遠鏡は光学望遠鏡で搭載される鏡は7枚を1枚の鏡として使用します。それぞれのサイズは直径8m、重量が約20トンで7枚を花びらのように組み合わせることで合成有効口径は24mに達します。面積としてはバスケットボールコート1面分とのこと。
性能としてはこれまで人類が開発したどの望遠鏡よりも多くの光を集めることができるとしており、分解能はハッブル宇宙望遠鏡の10倍に達すると表現されています。
▼鏡のサイズ(赤枠が巨大マゼラン望遠鏡)
今後の計画としては2021年に観測試験を開始し正式稼働は2025年を予定しています。今後打ち上げ予定のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡との連携観測を行いブラックホールや暗黒物質、原始惑星、初期の宇宙などを調査するのに使用される予定です。
また特に注目されているのは太陽系外惑星の観測で惑星のスペクトルを分析することができるとしており、生命の存在が有力視される天体の大気成分を観測したり惑星の気象や地形の特徴も観測可能としています。