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モスクワ時間10月11日、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたソユーズロケットの打ち上げが失敗し宇宙船が地上に帰還した事故に関して現時点で分かっていることをまとめてみました。

ロシアの宇宙飛行士とアメリカの宇宙飛行士の2名を乗せたソユーズFG ロケットが打ち上げに失敗したと報じられたことに関して、ロシア時間今月12日ロスコスモスの関係者が取材陣の回答に応じた内容が公開されています。

Soyuz Investigators Home in on Booster Separation, Promise Conclusions Oct. 20

今回の事故に関しては当初ブースターの分離失敗や第2段エンジンが停止したなどいくつか報道されていたのですが、ロスコスモスによると4基ある第一段ブースターの分離の際に不具合が生じ、分離した1基のブースターが何らかの理由で中央の第2段ロケットに衝突。これにより第2段の下部で損傷が生じたとしています。

あわせて、この損傷が発生したことでソユーズロケットのオンボードコンピュータにより緊急脱出システム(LES)が作動しロケットと宇宙船が切り離されたとしています。切り離しについてはブースターの接触から数秒後には作動したという内容が記載されています。

現時点で明らかになっているのはこの程度でブースターの衝突はコンピュータの作動ミスも考えられているのですが、その可能性は低いとみており部品の不具合や動作不良に原因があったという考えを示しています。


ではそもそもソユーズロケットにおける緊急脱出はどのように行われるのでしょうか。
ソユーズロケット
こちらがソユーズロケットの構造です。打ち上げ時には第1段ブースターと第2段エンジン同時燃焼します。


一方、こちらは前回の有人打ち上げの際に公開されていたCGによる映像です。今回の打ち上げでは119秒後のブースター分離の際に異常が発生したとしており、こちらのCGと同じような時間経過で分離が行われたものと考えられます。
CGでは緊急脱出システムLESを構成するエスケープ・ロケットやエスケープ・タワーと呼ばれる先端部分が切り離された後に第1段ブースターの切り離しが行われています。今回の打ち上げではこのブースターが中央の第2段ロケットに衝突しました。

Soyuz LES_1
こちらがソユーズロケットにおける宇宙船の緊急脱出を表した画像です。このように様々な段階での緊急脱出が想定されています。

Soyuz LES_2

こちらは打ち上げ前から今回脱出が行われた前後で用いられるエスケープ・ロケットを使用した緊急脱出です。エスケープ・ロケットには小型のロケットエンジンを搭載しており、ロケットに不具合が生じた場合はこれを作動させ宇宙船の退避が実施されます。

▼LESの試験映像


ソユーズおけるLESは主にブースターが切り離されるまでに使用されるものと考えられるのですが、この場合切り離されるのはソユーズ宇宙船を構成する『軌道船』と宇宙飛行士が乗り込んだ釣鐘型の『帰還船』のみ切り離し、上空で帰還船のみ切り離しパラシュートで帰還するという内容が書かれています。

今回の打ち上げでは経過時間から想像するとエスケープ・ロケットと呼ばれる先端のものが分離された後になるのですが、いくつかのサイトではLESによる緊急脱出が行われたという文言と合わせて1980年代にソユーズロケットが火災を起こしエスケープ・ロケットが使用された例も含め記載されています。

ソユーズロケットで緊急脱出が実施されたのは今回を含め3回です。1975年に発生した最初の1回目では第3段の燃焼が失敗したことを受け自動的に緊急脱出が作動しました。この例では既にエスケープ・ロケットを分離した後であったためソユーズ宇宙船に搭載された機械船のエンジンを使用し退避しています。

Soyuz MS-10

合わせて今回の打ち上げ映像では船内映像では宇宙飛行士が通常とは異なる振動する様子も映し出されていた他、地上からの映像では4本のブースターとは異なる3つの光の点も映し出されていました。ソユーズロケットが仮に直ちに分離されたとすればこの光の点がLESを構成するエスケープ・タワーやソユーズ宇宙船本体、もしくは損傷したロケットの一部の可能性も考えられます。

何れにしてもブースターが中央のコアロケットに接触するという一歩間違えば爆発するなど極めて危険な事故に陥っていた可能性もゼロではなかったことが予想できます。

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