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満月の夜は街灯が無くても暗い夜道を歩けるほどの明るさがありますが、一方中国では反射鏡を宇宙に打ち上げ月の8倍ほどの明るさで地上を照らす計画があると一部メディアが報じています。

英紙ガーディアンによると、中国の宇宙開発企業である中国航天科技集団(Casc)の会長が宇宙に反射鏡を設置し直径10~80km範囲の範囲に対して満月の8倍ほど、夕暮れ頃の明るさを地上にもたらす人口衛星を打ち上げる計画を発表しました。

Chinese city 'plans to launch artificial moon to replace streetlights' | Science | The Guardian

この計画について現時点で各都市の支持を得ているのか、中国政府の支持を得ているのかなどは不明としているのですが、Cascの会長によると「2020年にも実験機を打ち上げる予定だ」などと説明していたといいます。(計画では2022年に実用型の衛星を打ち上げるとしている)

具体的にどのような規模になるのかは不明なのですが、記事にも書かれいるように過去に同じような計画がロシアで試験されていたことがあります。

これはズナーミャ(Знамя,Znamya)計画というもので地球低軌道に反射鏡(硬い鏡ではなく薄膜反射鏡)を地球低軌道で展開し地上を照らすというものでした。この計画では人口衛星を10~12基打ち上げ地上の直径約17kmの範囲を最大8時間程度照らすというものになっており、日照条件の悪い冬場の高緯度地域でも農業が行えるようにするという目的があったとされています。

▼反射鏡を展開したズナーミャ2
Znamya

試験としてズナーミャ2では直径20mの薄膜反射鏡を実際に宇宙で展開し、南フランスからロシア西部にかけ秒速8kmで通過。この時、ヨーロッパ各地は雲で覆われていたものの満月とほぼ同じ明るさで照らされ雲空から閃光を目撃したという報告もあったとされています。

しかし、続くズナーミャ2.5では反射鏡の展開に失敗したことを受け計画は終了しました。一方で世界の天文学者から地上からの天体観測を障害になるという反対の声や、反射鏡の設置で地球全体に及ぼす影響がわからなないという反対の声も上がっていたといいます。

中国の計画については想像では地球低軌道に直径数十メートル~100m以上反射鏡を持つ人工衛星を複数基打ち上げ地上を照らすという方法になると考えられます。反射鏡を打ち上げる理由については「街灯が不要になる」などという説明がされているものの国民の理解が得られるかは不明です。