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数年前、中国のレストランなどの下水に溜まっている油を再処理し食用油に作り変えた下水油が問題になっていました。近年ほとんど耳にしたことは無くなったのですが、最近まで下水油を使用していた店に関して判決が言い渡されたと報じられています。

今回判決が言い渡されたのは四川省資陽市で火鍋という鍋を提供していたレストランの経営者を含む従業員らです。この店では客に出した鍋から出汁などを集め厨房内でろ過刷るという方法で油を摘出、その上で新しい油と再処理した油を1:1で混ぜ再び客に提供していました。
そのため、下水油とは言い切れないのですがいったいどのような判決となったのでしょうか。

新京報:地溝油就地溝油 扯什麼“技術傳承” - 香港新浪

まず、被告側の弁護士は再処理した油について健康上の問題となる有害成分は含まれていなかったと主張し、何故そのような再処理した油を使用したのかについては中華料理では鍋料理で古い油を使う技法があるとしており「伝承技術に過ぎない」と主張。もちろん下水から取り出したものでもないため状況は異なると合わせて主張しました。

この伝統技法は日本で言うところの『秘伝のタレ』のようなもので、何十年も継ぎ足して使用されているものとよく似ていると考えられるのですが、少なくとも食べ残した出汁を回収し油を抽出し再び提供するというようなものではないと考えられます。

最終的にどのような判決を下したのでしょうか。裁判所側はまず今回の油が下水油にあたるのかについて「廃棄するべき油を食品として再利用した場合も下水油にあたる」として主張が退けました。したがって、2012年から18年3月まで長期間におよび提供し続けていたことで被告4人に対して執行猶予2~4年、懲役1年6ヶ月~2年6ヶ月、罰金8~32万円。更に下水油を使用し不当な利益を得ていたとして108万円の追徴金の支払いが命じられました。

下水油に関しては中国では精製技術の発展もあり汚染物質が発見されず新品と同じようなものも中にはあるとされています。ただ、一方で今回のように客に一度提供した食材などを再利用し油を抽出するなどして再提供する『残飯油』がいくつか確認されており、近年では汚染物質の有無ではなく常識で考えて廃棄するものを再利用した場合でも下水油と呼ばれるようになっています。