火星探査機インサイト

将来、人類が移住できる天体として注目されている惑星、火星。この火星について地中や内部の活動がいったいどうなっているのか詳細に観測を行う探査機インサイトが来週到着する予定です。今回は到着前に、一体どのような探査が予定されているのか紹介していきます。

NASA(米航空宇宙局)が2018年5月5日にアトラスVロケットにより打ち上げられたのは火星探査機インサイトです。探査機の重量は358kgあり火星に着陸後搭載された観測装置を展開し火星年で2年間の調査を行ないます。


インサイトはどのようなことが調べられるのでしょうか。火星地表の探査といえばアメリカのキュリオシティといった車輪を搭載したものが有名ですが、インサイトは着陸後に移動はせず腰据えるタイプでその場に留まり続け探査を継続します。


そのため、行う調査も特化したものとなっており、これまで詳細な探査は行われてこなかった火星内部の謎に迫ります。

地中5mまで掘り進むインサイト

興味深い装置のうち興味深いのは火星の地下3~5mまで掘り進むことを予定している『熱探査針』というものがあります。熱探査針とは文字通り火星内部の熱を調査するものとなっています。

地震で火星を丸裸に

そしてもう一つ、これはフランスが開発した装置で『地震計』があります。地震計といえば地球でもおなじみの装置なのですが、なぜわざわざ火星に地震計を置く必要があるのでしょうか。実はこの地震計があることでありとあらゆる火星の内部構造がわかるといいます。

▼インサイトに搭載された地震計
火星探査機インサイト 地震計

具体的には火星の地殻活動がいったいどのくらいのレベルなのかという疑問です。火星でも地震が発生していることが予想されており、超高精度という地震計を用いることで揺れの頻度、大きさ、揺れがどこから来るのかを探り当てることができます。
そしてこれら波形や熱探査針のデータと合わせることで火星中心の核の大きさや、その形状が液体なのかそれとも固体なのか、周りを覆うマントルはあるのか、地殻はどのくらいの厚さなど、一挙に調査することができ文字通り火星を丸裸にすることができます。

つまり火星がいったいどのように形成されどのように変化していったのか、地球との差を比較検証することもできるということになります。

全ては着陸の成功にかかっている

火星探査機インサイトは米東部時間の11月26日午後(日本時間27日午前)に火星着陸を予定しています。これまで火星に訪れた探査機は多くが着陸に失敗しているという歴史があります。無事に着陸することができればインサイトは現在も活動中の探査車キュリオシティから600kmほど離れたエリシウム平原エリアで探査を進めることになります。