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国内の複数メディアによると、海上自衛隊最大の護衛艦であるいずも型護衛艦に関して垂直離着陸が可能なF-35Bを運用する艦艇へ改修する案については協議が継続中としているのですが、改修後は『多用途運用護衛艦』と呼ぶことに決定されたとしています。

政府が年末に改定する「防衛計画の大綱(防衛大綱)」に関する与党のワーキングチーム(WT)は5日の会合で、海上自衛隊の「いずも型」護衛艦を改修する事実上の「空母」について、「多用途運用護衛艦」と呼ぶことで一致した。今後、この呼称を使う方向で政府・与党内で調整する。憲法上、「攻撃型空母」は保有できないとされていることから、批判をかわすのが狙いだ。

朝日新聞
いずも型護衛艦について垂直離着陸が可能な唯一のステルス機F-35Bを運用できる艦艇に改修するという構想はここ最近多く報じられていたのですが、今回行われた会合によると引き続き協議を継続しているとしているもののF-35Bの導入了承しており、事実上改修は決定したことになります。

記事によると、改修されるのはいずも型護衛艦1番艦「いずも」、2番艦「かが」の両方でF-35Bの離着陸に伴う高温の排気ガスから甲板を保護できるよう厚くするなどの改修を予定しているとのことです。

▼いずも型護衛艦2番艦「かが」
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合わせて改修後の艦艇の呼び方に関しては自民党側からは「防衛型空母」がよいのではないかとされたものの公明党側は空母という表現が今後問題が生じる可能性があるとして否定。合わせて多用途運用母艦についても母艦つまり航空母艦(空母)という表現が入ることも問題が生じるとし、最終的にお馴染みの『護衛艦』という表現を用いた『多用途運用護衛艦』という表現にすることで一致したとのこと。

そのため前回、いずも型護衛艦に関して「空母に改修する」「空母には改修しない」などと報道された件に関しては、改修は決定されたものの『空母』ではなくあくまで『護衛艦』としての改修を目指すという表現にしたかったためそれぞれ異なる報道が出てしまったものと考えられます。


「いずも型護衛艦が空母なのかそれとも多用途運用護衛艦なのか」は今後議論となる可能性があるのですが、少なくとアメリカや中国が保有しているような正規空母と同じような『攻撃型空母』と呼ぶのは相当無理があります。
一方で軽空母という表現については十分に当てはまる可能性があるのですが、それでも正規空母とは特に艦載機の搭載量や運用で大差があるのことは間違いありません。アメリカ海軍(海兵隊)では同様にF-35Bを運用する艦種は揚陸艦(強襲揚陸艦)に分類されており排水量は4万トンを超えているものの軽空母とは呼ばれていません。

▼F-35Bを運用可能なワスプ級強襲揚陸艦(上)と除籍された正規空母ミッドウェイ級航空母艦(下)
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