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アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、1977年に打ち上げられたボイジャー2号に関して登載された観測装置から太陽圏から脱出したことが分かったと発表しました。

これはNASAのボイジャーチームが今月10日に開かれたワシントンの米国地球物理学連合(AGU)の会議で発表したもので、正確には2018年11月5日(アメリカ時間)に登載された複数の検出器が『ヘリオポーズ』と呼ばれる、太陽から放出された太陽風が星間物質や銀河系の磁場と衝突して完全に混ざり合う境界面に達したことを示すデータを送信していました。

NASA’s Voyager 2 Probe Enters Interstellar Space | NASA

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またこれら観測データが急速に低下したデータを示したのと合わせ、太陽風検出器のデータも太陽風がほとんど観測できない状態にまで低下しており太陽風の届く範囲=太陽圏(太陽系)を脱出したと判断しました。
ボイジャーは現在地球から約180億km離れたところを移動しており現在も地球との通信が続いているのですが、そのデータは光の速さでも16.5時間を要するとのことです。


ボイジャーは太陽光がほどんと届かない空間を移動しているのですが、放射性同位体発生源(いわゆる原子力電池)を登載しており熱による発電で観測装置を動かし続けてます。40年もこれら観測装置が生きていることに関してもアメリカの技術力の高さを示す証拠になっているのですが、年々発電量が弱ってきており十数年後には残念ながらデータのやり取りはできなくなると考えられています。


ボイジャーはどこかの天体に今後向かおうとしているわけではないのですが、仮に太陽系から最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリに向かっていると想定して現在どのくらいの距離まで進んでいることになるのでしょうか。
大雑把にプロキシマ・ケンタウリは太陽系から約4.2光年の位置にあり、ボイジャーは180億kmの位置にあります。両方の単位を天文単位(AU)に置き換えると4.2光年は265,613AU、180億kmは120AUです。これを割ると『1475』となります。ここからもっと身近なもので言い換えると例えば太陽系の1,475m(1.475km)先にプロキシマ・ケンタウリがあったとするとボイジャーはわずか1mしか進んでいないことになります。
打ち上げから40年が経過したもののプロキシマ・ケンタウリまで少なくとも1000倍以上の時間がかかると想定するとこの距離を進むには40,000年ほどかかってしまう計算になります。