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私達は何かしらの病気にかかると直ぐに薬を求めてしまうのですが、その薬も安いものから1錠あたり数万円するものまで様々存在します。今回登場するのは皮膚の医薬品を製造していた会社なのですが、これまでの価格よりも40倍近く価格を引き上げたところ会社が倒産したと報じられています。いったい何があったのでしょうか。

Chicago Tribuneによるとシカゴにある製薬会社『Novum Pharma』という企業が今月3日、州の破産裁判所に破産申請を行ったと報じています。記事によると、同社は2016年に自社扱う医薬品を大幅な値上げを行っていたとしており、原因はこの値上げという行為にあったとことです。

A Chicago pharma company raised the price of its skin gel to $7,968. Now it's bankrupt. - Chicago Tribune

この企業が値上げした製品はいくつかあるらしく、まず皮膚の感染症の治療などに使われていたという『Alcortin A』というスキンジェルについては値上げ前はチューブ1本あたり226ドル(約2万5000円)で販売されていたものの、最終的に7,968ドル(約87万5000円)まで値上げしていたといいます。
また他の『Aloquin』という別の皮膚用の薬に関しても大幅な値上げを実施し、5,952ドル(約65万3000円)で販売していたといいます。

▼大幅に値上げされた薬
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なぜ、大幅な値上げを実施したのでしょうか。記事によると、この企業は薬の価格相場が適切ではなかったと話しているそうです。民間保険に入っている患者についても不満があったらしく、保険に入ってる患者の多くが自社の製品の自己負担金を支払っておらず、保険をもっていない患者であっても35ドル以上のお金を払う必要が無かったことも不満に思っていたといいます。

ではその薬はさぞ大量に入っていて私達人類に必要不可欠な薬だと思ってしまうのですが、実はそうとも言い切れないそうです。海外メディアによると、Alcortin Aについてはチューブにわずか60gしかはいっていないらしく、成分も抗生物質とアロエベラという植物から抽出された成分が大半とのこと。同様の薬の製造コストは1本あたり30ドル(約3,000円程度)だったと考えられています。ちなみに、この薬はニキビなどに効果があると考えられているという程度の薬だとしています。

結果的に大幅に価格を引き上げたことで誰も薬を買わなくなり倒産してしまったとのことです。

薬とその価格については2015年にエイズの治療薬『ピリメタミン』をいきなり55倍、1錠あたり13.5ドルのものを750ドル(8万2000円)に引き上げたアメリカの製薬会社があるのですが、その経営者でマーティン・シャリ氏は会社の株式を流用し個人負債を返済にあてていたという容疑で逮捕されています。この人物については当時『全米一嫌われた男』としても有名でした。