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戦闘機など軍用機に登載されているのは緊急時にパイロットをコックピットから外に放出する座席です。これは射出座席というものなのですが、先日イランでT-33Aという訓練機から子供が座席ごと射出され骨折する事故があったと報じられています。

中国の环球网によると、今月10日イランで開催された航空展示会(一般的な航空ショーと考えられる)で、地上展示されていたT-33A訓練機から差出座席ごと子供が放り出されるという極めて珍しい事故があったと報じられています。

伊朗航展上“熊孩子”误触弹射手柄 被战机弹飞_军事_环球网

記事によると、事故は第8戦術戦闘機基地というイランの空軍基地で発生したとしており、当時8歳の男の子がT-33Aに乗り込む体験を行っていたそうです。男の子は後部座席に座っていたとしており、何らかの理由で射出座席が動作し機外に放り出されてしまったとしています。男の子は複数箇所が骨折しているものの命に別状ないとしています。

一般的な戦闘機には同様の射出座席がついており地上や上空で機体トラブルが発生した場合などこの射出座席を利用し座席ごと機外に放り出します。その後、座席とパイロットが離れパイロットはパラシュートで着地します。

▼最新の射出座席ACES 5の地上テスト(参考)

今回の事故に関しては、実は当時搭乗体験が行われていたT-33Aは既に飛行能力が失われた退役した機体だったとしています。そのためイベントでは記念撮影や搭乗体験の機体として運用されていたものの、運用当時から備わっていた射出座席はそのままになっていたらしく今回の事故が発生したと考えられています。

最近の射出座席であれば地上からの発射でも安全に脱出できるよう何十メートルもの高さまで飛び上がるタイプが採用されているのですが、今回の事故では長期間使用されていなかったことで動作不良となりとなりコックピットを覆うキャノピーは突き破ったもののほとんど高さは出なかったとしています。

▼米空軍のT-33
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事故を起こしたT-33Aはジェット戦闘機の黎明期に運用が始まった米軍の戦闘機シューティングスターを改造したもので、初の複座ジェット練習機として運用されていました。この機体についてはイランでは1955年から64年にかけ32機を導入していたものだったとしています。

何のトラブルも発生していないにもかかわらず地上から緊急脱出してしまった事故は過去にも発生しており、例として2010年に韓国空軍大学の総長が操縦士を教育するためF-15Kの後部座席に乗り込んだところ、その総長が地上から50mの高さまで射出されたという事故も発生していたことがあります。(参考)