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アメリカの宇宙開発計画について大きな進路を決定するのはNASAではなく『時の政権』です。そんな時の政権を担っているトランプ政権は今後の宇宙開発として有人月面探査を5年以内に実施すると発表しました。

アメリカのペンス副大統領は先日演説を行い、アメリカが有人火星探査前に実施することになった一連の月での活動に関して、その再有人月面探査計画について数年前出し『5年以内』、つまり遅くても2024年末ごろまでに実現すると発表しました。

現在どのような計画で月に行くことになっているのでしょうか。演説で具体的な計画が発表されたのかまでは把握していないのですが、これまで発表されていた内容と同じであれば、まずSLSという低軌道に100トンほどの打ち上げ能力のあるスペースシャトルの発展型のロケットを開発します。次にゲートウェイという月軌道上に留まる小型宇宙ステーションを打ち上げる他、ゲートウェイへの輸送に開発中のオリオン宇宙船を使用する計画です。
そして、月面とゲートウェイを行き来できる再利用可能な着陸船を送り込み、有人月面探査を実施するというものです。

▼ゲートウェイ構想
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この計画については、計画の中では最後になるであろう月着陸船の初飛行を2024年に実施し月面に人が降り立つのは2028年を予定していました。そのため全体の計画としては4年ほど前倒ししたという計算になります。

ロケットも未完成、宇宙船も未完成、なにもかも未完成

計画が実施可能か否かその大きな判断材料になるのは探査に必要な宇宙船そしてロケットの開発状況です。そもそもこの2つがなければ目的地に行くことができません。

これに関してまずスペース・ローチン・システム(SLS)という実質スペースシャトルの派生型となるロケットが開発の中心を担うことになるのですが、2019年3月末の時点で初号機すら打ち上げられていません。また人員の輸送に使うオリオン宇宙船についてはスペースシャトルが引退する前に開発が始まったもののこれまで初号機(無人)の打ち上げを数年前に実施した程度で、それ以降の打ち上げは行われておらず未だに開発が継続している段階です。
また月軌道のゲートウェイについても居住モジュールなどは日本のJAXAや欧州宇宙機関が製造するという予想がされているのですが、前倒しによりこれらは必要最低限の段階で行われる可能性があります。

そしてロッキード・マーティンが開発することになると考えられる月着陸船は開発が4年前倒しになることから、現時点で設計や製造にとりかかる必要がでてくるとと考えられます。

▼ロッキード・マーティンの再使用可能な月面着陸船コンセプト
再使用型月着陸船(ロッキード・マーティン)_1


これらを勘案するとアメリカの国力があれば少なくとも実現は可能と考えられるのですが、それでもかなり困難で無謀な計画になっていると思われます。したがってSLSだけでは計画実施が難しい部分がでてくるためスペースXなどの民間企業製ロケットと協力しながら実施していく必要があるということになりそうです。

今後共和党のトランプ政権が終わり民主党が与党になるとその宇宙計画が大きく変更される可能性があるため計画についてはあくまでも目安程度にとらえておくのがよいと思われます。
ちなみに前オバマ政権下ではその前のブッシュ政権の宇宙計画を変更し有人小惑星探査からの有人火星探査を行う計画に変更されていました。しかしトランプ政権は前オバマ政権の宇宙計画を再度撤回。結果的に共和党 ブッシュ政権のコンステレーション計画に戻る形で月からの有人火星探査へ進路変更されました。

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