東倉里ミサイル発射場(西海(ソヘ)衛星発射場)_1

2018年4月に実施された南北首脳会談、この時永久的に廃棄すると合意した平安北道鉄山郡の東倉里(トンチャンリ)ミサイル発射場に関して、韓国の国家情報院によると解体するどころか逆に発射台が整備され、今後人工衛星の発射と称した事実上の弾道ミサイルを今後打ち上げる可能性があると指摘されています。

韓国メディア連合ニュースなどによると、韓国の国家情報院は2019年3月29日、2018年7月に一部の撤去を開始した北朝鮮の東倉里ミサイル発射場(西海(ソヘ)衛星発射場)について、今年2月に実施された2019年米朝首脳会談の2ヶ月前頃から回復工事が実施され、現時点で整備がほぼ完了したと発表したと報じています。

국정원 "北 동창리 발사장 지난달 외형복구 착수…대부분 완료"(종합2보) | 연합뉴스

記事によると国会で開かれた情報委員会による全体会議で、発射台の状況については「現在の保守作業が進行中だ」と表現されており、弾道ミサイルを発射可能な状態になっている可能性が高いとしています。

この情報は何れもアメリカの研究機関が公開した内容が元になっていると考えられるのですが、そちらの情報によるとエンジンの実験場でもクレーンや建物が再建されており、すでに復旧に向けた作業が実施されていると3月初旬の段階で発表していました。

東倉里ミサイル発射場は2018年に実施された韓国と北朝鮮による南北首脳会談で交わされた合意文書で「(発射場を)関係国の専門家の立ち会いの下で永久廃棄する」と明記しており、事実上これを撤廃した形になります。

▼東倉里ミサイル発射場(西海(ソヘ)衛星発射場)に設置された銀河3号
東倉里ミサイル発射場(西海(ソヘ)衛星発射場)

このミサイル発射場からは2012年3月16日に光明星3号(高度静止気象衛星データ受信機)とする人工衛星を搭載した銀河3号(事実上のテポドン2号もしくはその改良型)を打ち上げを実施しています。この打ち上げは失敗したと報道されたこともあり、同年12月12日には前回と同名のロケット「銀河3号」により人工衛星「光明星3号2号機」を打ち上げらました。これについては地球周回軌道に乗り北朝鮮発の軌道投入に成功した事例になったとされています。

したがって再打上までの発射間隔は約9ヶ月となっていたことから、はやければ今年の末から来年初旬にかけてミサイルの発射が実施される可能性が考えられます。