マーズ・ヘリコプター_2

現在ドローン技術の発達により誰でも手軽に空撮映像を撮影できる時代になりました。一方アメリカ航空宇宙局(NASA) は地球外で初となる火星用ドローンを開発しており、2020年の打ち上げを目指し試験飛行を始めたと報じられています。

アメリカの宇宙ニュースサイト『Space.com』によると、NASAが3月28日に発表した内容として2020年7月に打ち上げ予定の大型火星探査車『マーズ2020』に搭載するドローンの飛行試験を開始したと報じています。



このドローンは『マーズ・ヘリコプター』と呼ばれており重量は約1.8kg。大型のプロペラを上下逆回転に動く二重反転ローターが採用されています。現在この機体は過去火星に送り込まれたローバーの試験に用いられてきた幅7.62mの真空チャンバー内で試験が行われており、地球の1/100以下しかない火星の大気圧を模した環境での飛行が行われています。ちなみにチャンバー内の気温についても火星が再現されており、マイナス90度という環境にもすることができるとしています。
また重力についてはヘリコプターの上下に電動ワイヤーを搭載する形で人工的な重力環境を作り出しているとのことです。

▼1500のパーツから組み立てられたマーズ・ヘリコプター
マーズ・ヘリコプター

マーズ・ヘリコプター_1

マーズ・ヘリコプターは探査車マーズ2020とに搭載される形で火星地表に運ばれることになるのですが搭載機材としてはカメラや温度センサー程度となっており、科学観測を行う装置は搭載されないとしています。実質マーズ2020のサポートをするような装置となっており、過去に発表されていた内容によるとヘリコプターを使用し予め地表を撮影しておくとで探査車の移動距離を最大で3倍程度伸ばせるともしていました。

火星は地球と比べて極めて厳しい環境となっておりマーズ・ヘリコプターが飛行する大気圧は地球でいうと高度30km(旅客機の約3倍の飛行高度)となっており、地球で使用するような一般的なヘリコプターの10倍の回転速度でローターを回していると言われています。
このヘリコプターは地球から操縦するのではなくヘリコプター自身が判断し自律飛行する必要があるなど地球で使用するドローンとは全く異なる仕様になっています。