繰り返し現れる斜面の筋_1

むき出しの岩盤、砂地、クレーター。惑星全体がまるで砂漠や荒れ地のような地形になっている火星。地表には水一滴も無いような思えるのですが、米大学が行った研究によると、火星の地表のすぐ下、もしくは数百メートル程度に液体の水が流れている可能性があるという研究が報告されています。

これはアメリカの南カリフォルニア大学(USC)が行った研究で火星の地下はまるで地球のサハラ砂漠のように液体の水が活発に流れている可能性があるとしています。

Mars May Have Lots of Water Deep Underground | Space

記事によると、ジェット推進研究所(JPL)の共同研究者とともに発表した声明として、火星の赤道付近にあるクレータの斜面から黒い筋のような何か液体が流れた筋、(Recurring Slope Lineae、RSL:繰り返し現れる斜面の筋)に関して、ネイチャー地球科学に最新の研究結果が掲載されました。

▼Recurring Slope Lineae、RSL:繰り返し現れる斜面の筋
繰り返し現れる斜面の筋_2

クレータの斜面で確認されている『繰り返し現れる斜面の筋』はランダムに発生してるのではなく、火星の季節ごとに筋の幅が短くなったり長くなったりを繰り返す変化を示しており、科学者らはこれまで地下水や地表の直ぐ下を流れる水の流れに影響しているのではないかと考えていました。

しかし研究チームは、『繰り返し現れる斜面の筋』は地下深くにある地下水が強い圧力が原因でクレイターの亀裂に沿って上昇し染み出しているという仮説を提唱しているそうです。これは専門用語では深部加圧地下水源などと呼ばれている現象としています。

クレーターの斜面にある『繰り返し現れる斜面の筋』について、同研究チームは地球で砂漠の帯水層における地下水の流れも研究しており、これを元に火星と地球の砂漠の地下水の流れが類似している結論に達したとしています。

同研究チームは地球と火星が地下深くに地下水を持っているということは2つの惑星が同じように進化してきた証拠になるとしており、現在異なる姿になっているものの火星も長い期間湿った環境を持っていたことを示しているとのことです。