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先日アメリカの民間宇宙企業スペースXが打ち上げたファルコンヘビーロケット。この打ち上げでは左右のサイドブースターと中央のコアロケットの回収に初めて成功したのですが、一方で人工衛星を包んでいたフェアリングの回収に成功したと発表しています。

どのようなロケットであれ、たとえそれが弾道ミサイルであれ必ず搭載されているのはフェアリング(ノーズコーン)と呼ばれる運搬物を保護するカバーです。一般的な大型ロケットのフェアリングであれば2つに分かれる形で打ち上げ後、地球の大気がほぼ無くなる高度120~150kmで分離されそのまま投棄されます。

一方、スペースXはこのフェアリングの回収も行うことで再整備することで再利用することを目指しています。なぜわざわざ他のロケットでは捨てられているフェアリングを回収し再利用するのか。その理由は極めて単純で、ロケットの打ち上げコストを安くするためです。

▼回収されたファルコンヘビー2号機のフェアリング
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スペースXが運用するファルコン9ロケット及びファルコンヘビーロケットには同一のフェアリングが運用されており、このフェアリングだけでも600万ドル、日本円で6億7000万円の価値があります。このフェアリングはただ地球に大気から運搬物、つまり人工衛星を守るただそれだけのために搭載されているものであり、今回打ち上げに使用したファルコンヘビーのフェアリングに関しては打ち上げ後から分離までわずか4分10程度しか使用しません。

これを回収、再利用することで少なくとも数億円は更に打ち上げコストを下げることができるということになります。またスペースXのイーロン・マスク氏も回収したものを再利用することを発表しており、今後打ち上げられる同社の宇宙インターネット衛星『スターリング』の打ち上げに使用するとのことです。

フェアリングがロケット全体のどのくらいの費用をしめているのかについては諸説あるのですが、スペースXの再使用型ファルコン9ついては旧モデルのFTモデルで静止軌道への打ち上げに6,120万ドル(約68.5億円)のコストがかかっています。一方再利用型であればおよそ半額で打ち上げ可能だと試算されており、34億円程度になると言われています。
もちろんここには回収されていないフェアリング6億円のコストも入っているため仮に今後フェアリングの再利用が進めば、再使用型ファルコン9の打ち上げは30億円を割り込む可能性が考えられます。これは日本のH2ロケットの1/3~1/4以下のコストで同等かそれ以上のものを打ち上げ可能という極めて安価なロケットになることが予想されます。

スペースXが進める衛星フェアリングの回収 : ZAPZAP!
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なぜ日本のロケットは再利用しないのか

スペースXは当初フェアリングはそのまま洋上に投棄しており回収はされていなかったのですが、現在は改良が施されパラフォイルを搭載するなどして回収に向けた技術開発を行っています。一方で商業打ち上げを今後多く行いたいと主張している日本のロケットはフェアリングは回収はされているものの再利用はされていません。何故、高価なフェアリングをゴミとして処分しているのでしょうか。

日本が運用を目指すH3ロケットは現在のロケットの半分の値段で打ち上げるなど強調されているものの、それでもスペースXが現在運用している再使用型ファルコン9ロケットと比べると1kgあたりの打ち上げコストには遠く及んでいません。せめてフェアリングくらいは再設計するなどして今のロケットでも回収・再利用は工夫すればできるはずです。しかし、それをやろうともしないのは「できる、できない」以前に日本の技術や創意工夫が既にアメリカの民間企業にすら劣り、負けているということになります。

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