オメガAロケット_1

アメリカの航空軍事大手ノースロップ・グラマンが開発しているのはオメガAという、第1段、2段に固体燃料を使っているというロケット。先日地上にて初の試験を実施したところ途中でノズルが爆発し吹き飛ぶという珍しい事故が発生したことが明らかになりました。

宇宙専門サイトSpace.comによると、現地時間先月30日ノースロップ・グラマンはユタ州にある同社の試験場で初めてオメガロケットファミリーのオメガAロケットの第1段固体燃料の燃焼試験を実施したところ、燃焼開始から2分程度の時点でロケットのノズル部分が爆発し吹き飛ぶ事故があったと報じています。

Northrop Grumman Test-Fires New Heavy-Lift OmegA Rocket Stage for 1st Time | Space



こちらが実際に撮影された映像です。映像では2分11秒あたりにエンジンノズルが爆発する様子が映し出されています。しかしそのままエンジンは燃焼を続けテストは終了。最後ロケットが燃えているように見えるものの固体ロケットであるためこれが正常と考えられます。

さて今回見事に爆発事故が発生したことについて、ノースロップ・グラマンは「テストは成功だった」などと特に大きな問題はなかったかのような主張をしているといいます。

爆発については「もう少し詳細を調べる必要がある」と答えているのですが、ロケットそのものの試験としては予定されていた200万ポンドの推力が確認されており、それほど重大な問題とはみていないと考えられます。ノースロップ・グラマンによるとオメガAロケットの第2段ロケットの試験は今年の秋頃に実施するとしています。

オメガAロケット

NGR_1

このロケットは2018年4月までは『ネクスト・ジェネレーション・ロケット(NGR)』とよばれていたもので、現代その多くが液体ロケットエンジンが搭載されることが多いものの1段目、2段目も固体モーターを搭載しているという特徴があります。また最終的に人工衛星を軌道に送り込む3段目については液体燃料ロケットが採用されています。

オメガAロケット

ロケットの性能としては別途補助ロケットを搭載の有無で静止トランスファ軌道(GTO)まで4.9トンから10トンの打ち上げ能力があり、もう一種オメガAロケットを拡張したものでは静止軌道(GEO)まで5.2トンから7.8トンの打ち上げ能力があります。

使用している固体ロケットはCastor 600、上段はCastor 300、3段目はRL-10Cという元はサターンI型ロケット2段目に起源のあるエンジンが採用されています。拡張型では1段目にCastor 1200というものが採用されています。ちなみにCastor 600はスペースシャトルに使用されていた固体燃料補助ロケットを原型にしたものが採用されています。

同ロケットの打ち上げは2年後の2021年を予定しています。