長征11号_1

中国メディアによると今月5日、中国初となる海上打ち上げロケットの発射が行われ成功したと発表しました。海上打ち上げロケットは現在ロシアが行っているだけで非常に珍しい方法となります。

中国のニュースサイト『网易新闻』によると、今月5日午後12時6分頃、黄海に展開した打ち上げプラットフォームからCZ-11WEY(長征11号WEY)の打ち上げを行い民間企業の人工衛星を地球低軌道に乗せることに成功したと発表しました。搭載されていた衛星は技術試験衛星Wind Capture No.1A、Bなど商業衛星5基と技術試験衛星2基の合計7つの民間企業衛星でした。

中国航天首次海上发射 长征十一号一箭七星_网易新闻

今回打ち上げに成功した海上打ち上げロケットは打ち上げプラットフォームは専用に設計されたものではなく民間船を改造したものが使用されました。打ち上げに使用したロケットは元々陸上からの打ち上げを行っていた長征11号で今回打ち上げたものは全長は21m、直径は2mの小型ロケットです。


こちらが実際の打ち上げになるのですが、一般的なロケットとは異なり空中で点火しているように見えます。これはロケットを収めた筒状の中で圧縮ガスを発生させ一時的に飛び出した後にロケットを点火するというコールドローンチという打ち上げ方法になります。

▼プラットフォームから撮影された映像

一般的に弾道ミサイルの発射になるのですが、なぜこのような打ち上げ方法が採用されたのでしょうか。理由としては長征11号そのものがコールドローンチによる弾道ミサイルを打ち上げるような方法を採用しているためです。正しくはこの技術が使われているのは移動式固体燃料大陸間弾道ミサイル 東風-31A(DF-31A)であり、その技術が流用され長征11号が開発されたといわれています。
コールドローンチを採用することによりプラットフォームが高温に熱せられることはほとんどないため発射台の整備が最小限に済むことで打ち上げコストを抑えられる以外にも連続した発射も可能になると考えられます。

今回のような海上発射ロケットは他にも米ロなど多国籍企業として設立され後に経営破綻し現在はロシアが運営しているシーローンチが唯一存在しており運用さているのはゼニットロケットです。海上を航行することで打ち上げ性能が高くなる赤道付近にまでロケットを運ぶことができ、海上で発射することで様々な規制を敷く必要な無いためより柔軟な打ち上げが実施できるとされています。

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