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地球温暖化の原因とされている大気中におけるCO2の増加。これに関して海外の研究機関は洋上に大規模な人工島を建設し発電した電力からメタノールを作るという案を構想しているとのことです。

Ars Technicaによると、先日アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)で発表された論文の一つに直径100mの人工島を建設しソーラーパネルを設置することでメタノールなどの各種代替燃料を生産するという野心的な構想があったと報じています。

Creative thinking: Researchers propose solar methanol island using ocean CO₂ | Ars Technica

記事によると、構想を発表したのはスイスのチューリッヒ大学及びノルウェー科学技術大学などの研究機関に所属する研究者グループで、発案としては1基あたり直径100mの円形の人工島を設置し、ソーラーパネルを敷き詰めます。これにより24MWの電力を生産しバッテリーを充電することで24時間連続したメタノールの生産が可能だとしています。

ではメタノールはどこから作られるのでしょうか。詳細は不明なのですが、まず生産した電力から海水を電気分解します。作られた水素と海中の二酸化炭素を抽出し最終的にメタノールするとのこと。ちなみに海水のままでは使用できないらしく一度海水を淡水化した水から二酸化炭素を取り出すとしています。生産されるメタノールは理論上年間1万5300トンとしています。

ちなみに現在運用されている長距離輸送で必要とする様々な乗り物に関してその全てをメタノールに置き換えようとすると直径100mの人工島が17万基は必要とのこと。研究者によるとこの17万基については人工島が建設可能と考えられる海域面積は地球上に十分にあるとしています。ただし17万基建設された場合の生態系などの影響、また漁業に適した海域でもあると考えられるためその損失に対しての補償なども具体的に記載されていません。

今回の案はソーラーパネルでの発電が全ての鍵を握っており、バッテリーに充電したり淡水化したり、電気分解したりと様々な変換が生じています。従ってあくまで理論上の導き出されただけの数値であり実際は変換効率が悪く全く使い物にならない可能性もゼロではありません。

ちなみに水面にソーラーパネルを展開し発電するという案は既に中国が実用化しています。こちらの湖では漁業に配慮した設計になっているという特徴もあります。
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