ベガロケット

欧州宇宙機関(ESA)によると、現地時間今月10日打ち上げられたベガロケット15号機に関して、離陸してから約2分後に予定された軌道から外れ打ち上げに失敗したと発表しました。

Spacenews.comによると、イタリアのAvioにより製造され南アフリカ北部のフランス領ギアナにあるギアナ宇宙センターから打ち上げられたベガロケットに関して打ち上げが失敗しアラブ首長国連邦のイメージング衛星が失われたと報じています。

Arianespace Vega launch fails, Emirati satellite lost - SpaceNews.com

事故は打ち上げから約2分後、高度60kmあたりから予定されていた軌道を外れ上昇が停止したと見られ、時間と高度から第一段燃焼終了時の分離もしくは第2段の燃焼開始時に間に何らかのトラブルが発生したと考えられます。

▼打ち上げの映像。打ち上げから約2分後にエンジンの燃焼による光が確認できなくなる


記事によるとアリアンスペース(欧州各国が欧州宇宙機関で開発・実用化されたアリアンロケットの打上げを実施するために共同で設立した企業)は今回の打ち上げ失敗について、打ち上げから9分後に正式な打ち上げ失敗を確認したとしており、同社の副社長は今回の打ち上げ失敗についてアラブ首長国連邦に謝罪を行ったとしています。

▼失われたFalcon Eye 1
Falcon Eye 1

搭載されていた人工衛星は『Falcon Eye 1』というアラブ首長国連邦のイメージング衛星で重量は1.2トン。製造はエアバス・グループのエアバス・ディフェンス・アンド・スペースにより行われ、フランスの高解像度カメラが搭載されていたといいます。正常に打ち上げられていた場合、一日に地球を15周し高度611kmから撮影された高解像度画像を撮影またそれを販売する予定で、今年後半にもその2号機が打ち上げ予定だったとしています。


アリアンスペースによるとベガロケットは今年だけでも合計4回の打ち上げを計画しており3月の打ち上げは成功していました。ベガロケットは運用が始まって以来14回の打ち上げに成功しており、今回の失敗を受けて今年の打ち上げ計画は大きくずれ込む可能性が考えられます。

ベガロケット_1

ベガロケットは2012年に初打ち上げが実施された小型ロケットで全長は30m、重量は137トン。性能としては地球低軌道に2.3トン(高度300km)の打ち上げ能力があります。同ロケットは4段式ロケットで1段~3段は固体ロケットモーターを採用しています。人工衛星を最終的に正しい位置に投入する4段目は液体ロケットエンジンにより行われ、これは旧ソ連の重弾道ミサイルR-36 NATOコードネーム『サタン』に運用されていたエンジンを元に開発されたウクライナ製のRD-843が利用されています。