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今年4月、民間としては世界発の月面着陸を目指し開発されたイスラエルの探査機が月に墜落した事故に関して、実はこの探査機には地球上で最もタフな動物の一つとして知られるクマムシを搭載していたことが明らかになりました。

国内外の複数メディアによると、今年2月に打ち上げられたイスラエルの民間企業スペース ILが開発した『ベレシート』という探査機が月面着陸を目指していたものの4月に月面に墜落したことに関して、実はこの探査機にはルナラボラトリーというペイロードが搭載されており、ここには人間のDNAや地球と人類の記録データ以外に、数千匹のクマムシという動物が入れられていたことがわかったとしています。

Crashed spacecraft may have left tiny tardigrades on the moon - CNN

▼ベレシート(実物大模型)
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ベレシートについては国が介入していない民間企業が打ち上げた月着陸機(探査機)ということで当時注目を集めており、着陸が果たせるか否かが注目されていたのですが、クマムシが搭載されていたことにはほとんど触れられてはいませんでした。もちろんスペース IL側がこのことを隠していたということではありません。

その上で、ベレシートは2019年4月11日に着陸予定だったものの着陸の最終段階となった高度150m上空で突然通信断絶。この時、飛行速度は速度3,396km/hで着陸地点予定地点からは120kmほど離れていました。しかし結果的にベレシートは月面に激しく衝突し着陸は失敗しました。

▼衝突前の画像
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▼衝突後の画像
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ベレシートに搭載されていた『クマムシ』とはどのような動物なのでしょうか。くまむし研究グループによると、私達の身近にも存在している大きさは1mm未満の動物で深海、高山、極地など地球上のどこでも生息し私達人類には無害な動物だといいます。

実はこのクマムシは私達人間が直ちに死んでしまうような極限環境でも生きていける地球上でも極めてタフな動物のひとつとして知られており、具体的には人間の致死量の1000倍ほとど放射性耐性があるほ、極めて乾燥した状態でも生き続けることができ、その環境は-273度から151度真空状態から75000気圧、もちろん電子レンジでチンした程度では死ぬことはありません。
また2007年には宇宙空間に直接晒すという実験も行われており、高度250~280kmの宇宙空間で穴が空いた箱の中にクマムシを入れ10日間晒したものの生存率や寿命また繁殖率にも特に影響はなかったとしています。

従ってこのクマムシが月面上でも乾燥状態のまま生き続ける可能性はゼロではないのですが、乾燥から高温・低温・放射線・真空などが重なっている極限環境であるため例えば自由に動き回り繁殖する可能性はほぼ無いのではないかと考えられています。

ちなみに私達の身近にいるクマムシについては乾燥には比較的弱くそのような耐性があるのはあくまでも乾燥した地にいる個体に限られるとのことです。