image_14

ロサンゼルスに本社を置く宇宙ベンチャー『ロケット ラボ』は先日、自社が運用する小型ロケット『エレクトロン』に関して第1段ロケットを回収し再利用することを発表しました。

Космическая лентаというロシアの宇宙関連のニュースサイトによると、アメリカとニュージーランドの企業であるロケットラボは今月6日、エレクトロンロケットの第1段目を回収し再利用を行う予定があると発表したと報じています。

Rocket Lab анонсировала повторное использование первых ступеней Electron



記事によると、ロケットラボの第1段目の回収はスペースXのような着陸による回収は行わないと発表しています。理由は単純でスペースXのファルコン9ロケットのように大量の燃料を搭載する余裕がないというもので、動画でも紹介されているように大気圏再突入後はパラフォイルを展開しゆっくり降下する途中でヘリコプターで回収します。この回収方法は現在開発が進むアメリカのヴァルカンロケットと同様(ただしこちらはエンジン部分のみ)となっています。

ロケットラボによると、ロケットの回収試験は今後2段階で試験されていくとしており、最初のフェーズ1ではエレクトロンロケットを地球に落下させパラフォイルを展開するもののヘリコプターによる空中回収は実施せず海面に浮いたものを回収するとしています。そしてフェーズ2では本番と同じ用に空中キャッチし再生と再利用が実施されるとのこと。

ただ、現時点で軌道上の速度マッハ8.5からの減速方法については具体的に明らかにしておらず、ロケットラボによるとスペースXのファルコン9のように逆噴射は行わないとしていることから、想定どおり減速が行えるのかが最大の技術的問題だと専門家は指摘しています。

▼エレクトロンロケット
エレクトロンロケット

ロケットラボが運用するエレクトロンロケットは2017年5月の初打ち上げから最後に打ち上げられた2019年6月29日までで合計7回の打ち上げを実施しています。打ち上げコストは490万ドル、わずか5億円弱とされており、太陽同期軌道(地上500km)に最大225kgを打ち上げることができる格安ロケットの一つです。

エレクトロンは3Dプリンタで製造されたラザフォードエンジンを搭載。このエンジンは燃料を送り出すポンプの電動化に成功し、エンジンの製造コストや重量を大幅に低くすることに成功しています。スペックは全体重量が10.5トン。全長17メートル、直径1メートル。第1段にラザフォードエンジン9基を使用し推力は162kN、さらに上段には真空推力22kNのエンジンを採用しています。

▼ラザフォードエンジン
ラザフォードエンジン