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航空自衛隊で配備されているF-2の後継機として開発されることになったステルス戦闘機『F-3』に関して、政策が細部が決定されておらず予算額の見通しが不明な場合に用いられる『事項要求』となったことが明らかになりました。

政府内では、海洋進出を強める中国への抑止力を念頭に、後継機は国産初のステルス戦闘機とし、高い空戦能力の実現を目指す案が有力だ。長距離巡航ミサイルを搭載し、高水準の対艦能力を併せて備えさせる案もある。F2と同様の約90機の配備を想定している。

開発費は概算要求では金額を示さない「事項要求」とする見通しで、年末の予算編成までに機体の概念をまとめ、金額を算定する。

読売新聞オンライン
F-3について現在どのような状態になっているのか詳細はつかめていないのですが読売新聞の記事によると、昨年12の中期防衛力整備計画(中期防)では「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する」という表現になっており、ありとあらゆるシステムを国産を用いる純国産とはならない方針が明らかになっています。
従って現在は『我が国主導』つまり、外国技術も導入しながらも主要部分は日本製を用いるという日本主導の国際共同開発案でF-3を開発していくとしています。導入時期については2030年代半ば以降です。

具体的に国際共同開発案はどのようなものがあるのでしょうか。これは記事でも取り上げられているように、過去にアメリカからはF-22にF-35の電子機器を搭載したF-22改修案が実際に示されていたことがあります。しかし、1機あたりのコストは実に200億円と想定されたこともあり2018年10月に防衛省は「開発コストや基準に満たさない」として何れも見送ったと報じられています。しかしその後、F-22に日本が開発したエンジンや電子機器を搭載する案が示されていました。

ステルス戦闘機『F-3』、F-22に日本技術搭載案
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一方欧州ではF-22やF-35といった第5世代戦闘機は開発せずに第6世代戦闘機を開発するという計画が既に進んでおりその一つイギリスはタイフーン戦闘機の後継機として第6世代戦闘機『テンペスト』を既に発表しており、開発については日本側と接触しているという報道もされています。

スウェーデン、英国の第6世代戦闘機計画に参画と報道
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問題なのはF-3を仮に第5世代戦闘機として開発を進めた場合、配備からわずか10年以内に他国では第6世代戦闘機が配備される可能性があるという点です。これはイギリスのテンペストであれば2040年代にも配備を目指すとしており、フランス・ドイツ・イタリアが開発を目指す第6世代戦闘機Future Combat Air System(FCAS)も2040年代となっています。

パリ航空ショー、仏・独・西共同開発の第6世代戦闘機発表
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防衛省としても「短期間で世代遅れとなる可能性が高い」と考えていることは当然想像することはできるのですが、いったいどのような戦闘機の開発を目指していくのか。永遠と配備し続けることはできない戦闘機をやりくりしながら難しい判断が今後も続いてくものと考えられます。