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潜航中の潜水艦から核兵器を搭載した弾道ミサイルを発射することができる潜水艦。アメリカやロシア、中国といった核保有国が運用している兵器になるのですが、先日ロシア海軍は原子力潜水艦から2種類の潜水艦発射弾道ミサイルを打ち上げる試験を実施しました。

ロシア国防省は先月末、北極圏の水域からデルタIV型戦略原潜K-114「トゥーラ」を用いて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)R-29RMU「シネヴァ」、およびバレンツ海水域にてボレイ級原子力弾道ミサイル潜水艦K-535ユーリー・ドルゴルキーからSLBMであるR-30「ブラヴァー」を発射する試験を実施したと発表しました。



今回の試験ではR-29RMU シネヴァはアルハンゲリスク州のチジャ射撃場に着弾、R-30 ブラヴァーはカムチャッカ半島のクラ射撃場にそれぞれ着弾したとして試験は成功したとしています。この試験は中距離核戦力全廃条約(INF)が失効した後に行われた初めてのSLBMの試験になりました。
INFでは陸上発射型の中距離弾道ミサイルの保有が両国で禁止されたものであり、今回のような潜水艦から発射する弾道ミサイルについては抵触していません。ただ、今回の試験はこの失効を意識したもので間違いないと考えられます。

▼R-29RMU
R-29RMU

R-29RMUは2007年に配備された重量40.3トン、全長14.8mの3段式液体燃料推進ロケットを搭載した潜水艦弾道ミサイルで射程は標準仕様で8300km、核弾頭を少なくするなど軽くした場合は射程は11500kmに達するとされています。弾頭には500キロトンを4発、100キロトンを10発の核兵器を搭載することができます。

R-30 ブラヴァーは2013年に配備された重量36.8トン、全長12.1mの三段式固体燃料ロケットで射程は約8000km。最小構成で9300km程度の射程があるとされています。搭載されている核兵器は150ktのものが6発。また迎撃を防ぐためのデコイを10~40個搭載されていると言われています。