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季節に応じて、また一年を通して目にすることができる野鳥。これら野鳥に渡り鳥ではなく身近な草原などに生息する鳥に関する最新の研究によると、その個体数が1970年よりも30億羽ほど少なくなっていると報じられています。

森をハイキングしたり街の公園を散歩したりするだけでは気づかないかもしれないが、新たな研究によると、北米の鳥の個体数は静かに、だが急激に減り続けている。9月19日付けで学術誌「サイエンス」に発表された論文によると、760種の鳥が生息する米国とカナダでは、1970年と比べて約30億羽も減少したことが明らかになった。

NATIONAL GEOGRAPHIC
今回調査の対象となったのは雀やウグイス、ムクドリといった街中にも普通に生息している野鳥だとしており、気象レーダーを使用した過去50年分のデータなどを用いて調査が難しい地域などの生息数などを調査した結果として48年間で約53%、数にして29億羽相当の個体数が減少していることが分かったとしています。
記事によると田畑に生息している3/4の種が減少傾向にあるといい、その原因は複数考えられるといいます。

まず個体数の減少については農耕地の拡大や農耕地で使用する農薬も原因の一つとしており、生息地の減少や農薬のついた作物を食べてしまうことで命を落とすということが確認されているそうです。また農薬が使用されることで野鳥が食べる昆虫も殺してしまうため結果的に個体数が減少してしまっていると考えられています。

ネコによる大量殺戮

そしてこれら野鳥を『億』単位の数で殺してしまっているのはペットとして人気を集めているネコです。これは2013年に発表されたスミソニアン保全生物学研究所で渡り鳥の研究を行っている生態学者が行った研究で、あくまでアメリカ本土に限定した数としてイエネコと野良猫を含む全てのネコにより年間14~37億羽の野鳥が殺されているという推定を発表しました。また、一部猛禽類の食べ物となっている哺乳類については69~207億匹が1年間に殺されているという推定が出されており、結果的に大型猛禽類の個体数減少に拍車をかけている可能性があります。

加えて人工的な建物についてもぶつかるなどして年間6億匹が命を落としていると報じられていたことがあります。

この研究についての評価についてはカーネギー自然史博物館の鳥類研究コーディネーターの話しとして、調査のため捕獲している鳥の数について昔よりも減っているということを明かしており、野鳥の個体数が減少しているというのは事実であると評価しています。