image_60

アフリカ大陸の一部に生息しているシマウマ。白黒模様が目を引く特徴的な動物なのですが、このシマ模様を家畜である牛に施したところ牛にやってくるハエが減るという効果が得られたと報じられてます。

科学と医学分野の研究論文を扱うPLoS ONEに公開された研究内容によると、愛知県農業総合試験場の研究者らが行った牛にシマウマ模様をつける観察を行った結果、牛に来る『サシバエ』という吸血性のハエが軽減されるという効果があったとのことです。

Cows painted with zebra-like striping can avoid biting fly attack

論文によると、被検体となったのは6頭の和牛でそれぞれに『白黒のシマ模様の牛』『黒模様の牛』『そのままの牛』に分け、同じ場所に置きどのくらいハエがやってくるのか観察を行ったといいます。

image_59

30分間、1分ごとに1回の頻度で観察を午前中と午後の2回実施。この間、牛にやってくるハエの数と牛がハエを追っ払う行動の回数を調査しました。結果『白黒のシマ模様の牛』にたかったハエの数は黒線だけと何もしなかった牛のおよそ半分以下となり、牛がハエを追っ払う動作は2割ほど少なくなったことが確認されたとのこと。

▼aはハエの数、bは追っ払う行動 グラフは左から模様なし、シマ模様、黒模様のみ
image_2


なぜシマ模様をつけただけでハエの数が減ったのか。シマウマの模様については一昔前まではアフリカの暑い気候に対応するため熱対策と言われていたのですが実は正しくはなく、現在は吸血性ハエから守るためのという研究が報告されています。
今回の牛を使った研究でも吸血性ハエがよってくる率が明らかに減っておりシマ模様と吸血性ハエの因果関係があることは間違いないと考えられます。

今回の研究で用いられた牛のシマ模様についてはペイントすることで行ったとしており、「塗料に含まれる化学成分でハエが寄ってこなかったではないのか」という疑問については無い素材が使用されたとしています。

牛に寄ってくる吸血性ハエにより実は牛の乳の出が悪くなるなど被害が発生しており、その額はアメリカだけでも年間2300億円に達するとされています。ペイントだけでは完全に防ぐ事はできないものの殺虫剤の使用頻度や濃度なども抑えることができることが考えられ、牛への負担も軽減できることが予想されます。