H3 ヘビー

国際宇宙ステーション引退後の次なる宇宙開発は月そして火星となるのですが、日本も正式に参加することになったNASAの月軌道宇宙ステーションに関して、国産ロケットを開発している三菱重工は月ミッション用の大型ロケットとなるH3の発展型『H3 ヘビー(H3 Heavy)』構想を発表しました。

簡単にまとめると
  • 月軌道の輸送にはH3ロケット2基の打ち上げが必要
  • 将来的にH3を3本束ねたH3ヘビーを開発
  • H3ヘビーは2030年にも準備できる
SpaceNewsによると、ワシントンで開催された第70回国際宇宙会議で三菱重工は現在開発中のH3ロケットをアップグーレドすることでNASAが進めている月ミッション『アルテミス』計画に参加することができると話したと報じています。

Mitsubishi Heavy Industries mulls upgraded H3 rocket variants for lunar missions - SpaceNews.com

記事によると、H3ロケットは2020年のはじめに初打ち上げを予定してるとし、現在運用されているH-2シリーズのロケットよりも安価な機体として開発が進められているとのこと。

その上で、H3は2021年に打ち上げ予定の国際宇宙ステーション補給線であるHTVの発展型『HTV-X』を国際宇宙ステーションに向けて打ち上げる予定があると明らかにしました。そしてH3およびHTV-Xを段階的にアップグレードすることにより、国際宇宙ステーション引退後の月ミッションとなるアルティミス計画にも対応することができるとし、ゲートウェイもしくは月面に対しての輸送が可能になるとのことです。

H-3 ヘビー

具体的にはHTV-Xは1基のH3ロケットにより打ち上げが実施されるものの、HTV-Xを月軌道に送り込むには一回の打ち上げでは行う事ができません。したがって、ファースステップとして国際宇宙ステーションにHTV-Xを打ち上げる要領で1基を打ち上げ、その後もう1基のH3を打ち上げることで地球軌道上でドッキングし月軌道にまでHTV-Xを輸送するという案です。

その後、セカンドステップとしてH3そのものを改造しH3の1段目を3基構成としたH3ヘビーを開発します。これにより1回の打ち上げで月軌道にまでHTV-Xを送り込む事ができます。またサードステップとしてH3ヘビーに上段を追加することで月面にローバーや居住モジュール、その他の物資を直接輸送可能なものにしていくとしています。

三菱重工によるとH3ヘビーの性能としては月軌道のゲートウェイに11,9トンの質量を送り込むことができるとしており、地球ミッションでは地球低軌道に28.3トン、静止軌道には14.8トンとしています。
H3については2030年までに開発可能と説明したとのことです。