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アメリカが中心となり開発を目指す月の宇宙ステーション『ゲートウェイ』。欧州や日本が参画を発表しているのですが、これに関してロシアが「参画交渉に参加する用意ができている」などと態度を示していることが明らかになりました。

この決定に関して、ロゴジン氏はスプートニク通信からの取材に対し、「NASAに、ロシアは交渉に参加する用意ができていると伝えた」と述べた。ロゴジン氏の話ではロスコスモスとNASAは2020年の春あたりに会合を持ち、ロシアのプロジェクト参加を話し合う。

Sputnik
現在アメリカは国際宇宙ステーションの引退後の新たな宇宙開発として最終目的地を火星と位置づけ、その過程で技術開発や中継基地として月軌道上に小型の宇宙ステーション『ゲートウェイ』の建設を目指します。ゲートウェイについては、NASAや欧州宇宙機関(ESA)、そして日本のJAXAなどが参画しそれぞれのモジュールを作り、組み立てる計画が現在進められいます。

一方、国際宇宙ステーションでは協力関係にあるロシアについて、今現在ゲートウェイとアルテミス計画に参画する計画とはなっていません。2019年2月にゲートウェイの参画にあたってロシアのロスコスモスのドミトリー・ロゴジン長官がアメリカ側からの招待をうけ訪米することになっていたものの、招待が取り消されたことがあります。

理由については政治的な問題と考えられており、米上院議員から「(ロシアの招待は)あまり良い考えではない」などと指摘されていたため結果的にNASAのブライデンスタイン長官が結果的に招待を取り消したという判断をしたとされています。

その後、ロシアの招待やアメリカ側との交渉はどうなったのかは不明なのですが、ロシアの参画にあたっては記事によると、
2017年、ロスコスモスとNASAの協力は共同建設の契約締結まで進んでいた。ところが、その後ロスコスモスのロゴジンCEOは、契約では気圧が異なる空間をつなぐ装置「エアロックモジュール」と生命維持システムの製造の作業でロシアに十分に重要な役割が与えられなかったため、同プロジェクトの参加を拒否するだろうと発言していた
としています。

何れにしてもゲートウェイの建設を主導するのはアメリカであってこれに抱きつく形で参画するのはロシアです。このように上下関係ははっきりしており、あくまでロシアやその他の国は補助的な役割に過ぎません。しかし「交渉に復帰する」「参加できる用意がある」などとよくわからない態度を示しているのはどのような理由があるのか。

何れにしてもアメリカとロシアの関係は冷え込んでおり、アメリカの民間ロケットの登場など国際宇宙ステーション建設当時とは状況が全く異なっています。また、仮にロシアがゲートウェイに参画するとしてもゲートウェイの想定される運用は国際宇宙ステーションとは大きく異なっておりロシアに求められることはロシア側が考えているよりも限定されるものと考えられます。