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最近注目されている放射性トリチウム。当たり前のように自然に存在し今も私達の体にも含まれているということになるのですが、実はこの放射性トリチウムに関して原発や核燃料再処理施設から今も大量放出されています。今回は具体的にどの程度の量になっているのか紹介していこうと思います。

放射性トリチウムとは水素の同位体で水素の原子核が陽子1個でできているのに対し、トリチウムの原子核は陽子1個と中性子2個から構成されています。別名は三重水素などとも呼ばれています。トリチウムは自然由来の人工由来のものが存在してます。
自然由来のものは銀河宇宙線と地球の大気により日々生成されており、その量は年間約72ペタベクレル、7京2000兆ベクレルと推定されています。放射性トリチウムの半減期は12.3年で、地球上の自然由来の放射性トリチウムは自然に消えていく放射性トリチウムと新たに作られる自然の放射性トリチウムで常につり合っているということになります。

一方人間が作る人工の放射性トリチウムが存在します。これは主に原子力発電に関連するものです。

▼資料5-2 トリチウムの性質等について
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こちらが主な原子力発電所、及び核燃料再処理から放出される人工放射性トリチウムです。掲載されていない原発からも放射性トリチウムが放出されており、一般的な原子力発電所では原発1基あたり1~2兆ベクレルの放射性トリチウムが放出されています。ただしこれは海洋放出された量としており気体放出の量は入っていない量と考えられます。

上の参考資料では放射性トリチウムの放出量は原発を何基抱えた施設なのかでその量が左右されていると考えられ、1施設あたり10兆ベクレルから500兆ベクレル、また1000兆ベクレルが1年間で放出されています。
また核燃料処理施設からも大量の放射性トリチウムが放出されており、こちらのほう桁違いの量となっておりイギリスの処理施設からは液体で1540兆ベクレル、気体で84兆ベクレル、フランスの処理施設では液体で1京3700兆ベクレル、気体で78兆ベクレルです。

ちなみに日本の六ケ所村の再処理施設では放出管理目標というものが存在しているらしく、これは実際の放出量とのことなのですが、液体で1京8000兆ベクレル、気体で1900兆ベクレルとのこと。(参考)

その上で、福島第一原発で確認されているという処理水における放射性トリチウムに関しては2016年時点のもので1300億ベクレルとしており、原発1施設あたり1兆ベクレルが放出されていると仮定しても約1/10程度の量になっているものと考えられます。出典は不明なのですが原発事故前の2009年における福島第一原発から海洋放出された放射性トリチウムは2兆ベクレルです。

放射性トリチウムの危険性

いくら数値をだしたところで全くピンとこないのですが、結局のところ放射性トリチウムは私達人体に悪影響はないのでしょうか。これは研究者によっても、また利害関係の有無によっても表現は異なると考えられるのですが、危険性については放射性セシウムに比べ1/1000程度と表現される場合もあるそうです。

ウィキペディアによると『2001年には英国ブリストル海峡での二枚貝やカレイの体内に、高濃度のトリチウムがあるとの論文が発表されている。海水の濾過が不十分であるとトリチウム水以外のトリチウムが加算され生物濃縮が過小評価されうること等、トリチウムおよび濃縮率の測定問題等が指摘されている。 英国食品基準庁の指針に従い、1997年より10年間、毎年調査をし続けた結果では海水が5〜50Bq/Lであったのに対し、ヒラメは4,000〜50,000Bq/kg、二枚貝イガイは2,000〜40,000Bq/kgの濃縮が認められ、濃縮率の平均値はそれぞれ3,000倍と2,300倍であった』としています。

もちろん海の哺乳類とは異なり人間が毎日魚を食べるわけでもなく、その量も1日あたり多くても数百gと考えると人体に入る放射性トリチウムの量は影響がない数値になると考えられます。

何れにしても放射性トリチウムの放出は福島第一原発事故前も当たり前のように行われていたことであり、その近海で獲った魚を気にせず食べていたということは今時点では理解しておく必要があるかもしれません。
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