F-35SG

現在、運用されているステルス機としては最新鋭機となるF-35シリーズに関して、シンガポール軍は短距離・垂直離着陸機『F-35B』の導入に関してアメリカからの許可が得られたと報じられています。

Defence NEWSによるとアメリカ政府が先日、シンガポールにF-35Bの購入申請を正式承認し新しい顧客として将来の販売への道を開いたと報じています。

Singapore gets the green light to buy F-35s

記事によると、シンガポールは昨年F-35Bを12機の導入を目指し、最初の4機に関して購入を求める申請書をアメリカ政府に提出すると発表していました。いつの時点でこれが行われたのかは記載はされていないものの、米国務省は1月9日にシンガポールの申請に対して承認を出したとし、購入額は推定で27億5000万ドル(日本円で約3020億円)となったとしています。

非常に高額になっているのですが、ここには4機の機体(?)と合わせて最大13基F-135エンジン、電子戦・通信システム、トレーニング機器などを合わせた額になっているとのこと。

アメリカ国防安全保障協力局は今回の決定に関して「シンガポールは戦略的友好国であり主要な安全補償協力パートナーだ」とし「F-35Bの売却はアジア太平洋地域の政治的安定と経済発展のために重要な力になる」と説明しています。

なぜ空軍型のF-35Aではなく軽空母等での運用が可能な垂直離着陸型のF-35『B』なのかという点は、シンガポールでは旧式の揚陸艦4隻をアメリカ海軍が運用しているような全通甲板をもつ強襲揚陸艦の導入を目指しており、将来的に軽空母や米海兵隊のような運用方法を考えている可能性があります。

知られざる軍事大国『シンガポール』

シンガポールは共通語が英語である一方で華僑(中国籍を持つ海外居住者)、華人(中華系住民)が多く暮らしており、中国も多く話されているといいます。シンガポールの総人口の実に75%近くが華人とされており、軍事面はロシアや中国よりと思われがちですがそうではありません。

▼シンガポール空軍の戦闘爆撃機 F-15SG(F-15E)
F-15SG

軍の兵器配備状況を見ると陸軍は主にドイツからの輸入で主力戦車はレオパルト2を120両、自走砲もFH-2000とこちらもドイツです。空軍は完全にアメリカとなっており、F-16を74機、高価なF-15Eも40機備えているという具合です。海軍はフランスやドイツ、アメリカなどの艦艇を揃えています。

国土面積や人口から考えても軍事大国という認識で間違いなく、西側も地理的な理由からも相当重要視している国と考えられます。

シンガポールではF-16の後継機としてF-35Aの購入も考えられ、今後もF-35シリーズの購入数はさらに増えていくものと考えらます。