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飲食店の多くは気候に関わらず暖房・冷房のエアコンを一年中稼働させているところが多いのですが、中国で発生した飲食店における新型コロナウイルスのクラスター発生に関して、家族らを調査したところエアコン気流が感染を拡大させていた可能性が指摘されています。

日本では連日、密閉空間(換気の悪い密閉空間)密集場所(多くの人が密集)密接場面(近距離会話)の3密を避けるよう行動が求められています。この3密に分類されるのはいくつかあるのですが、その一つは飲食店です。

中国、広東省では今年1月24日~2月5日、広州の飲食店を利用した3つの家族が相次いて新型コロナウイルスに感染したことが分かったものの、発症者を中心に両テーブルの家族に感染が広まった原因はエアコン気流にある可能性がある研究結果が発表されました。

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広東省広州疾病管理予防センターの研究チームは3つの家族、合計10人に新型コロナウイルスが伝播がした事例を分析した論文を学術誌「新型感染症(Emerging Infectious Diseases)」オンライン版に公開しました。

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こちらの図は当該レストランの見取り図で、上の図が店内全体、下が伝播したテーブルを中心に拡大したものです。
『A1』が感染を広めたスーパースプレッダーで、この人物の家族Aと向かって左側に座っていた家族B、そして右側のC家族に伝播しました。しかし、EFDのテーブルに座っていた家族には伝播しておらず、従業員にも伝播しませんでした。室内で伝播が広まったのはABCの3テーブルのみでした。

いったい何が伝播を左右させたのでしょうか。
研究ではC家族の近くにあった置型のエアコンがウイルスを拡散させていた可能性が高いと指摘しています。


研究によると、発症までの潜伏期間から少なくとも飲食店でのウイルスに晒されたB家族の1人とC家族の1人がこの時に感染したと推定されています。ただし最大でもB家族3人、C家族2人からこの時に感染した可能性はゼロではないとのこと。

その上で、直線上に感染が広まっていたことについては「感染者のエアロゾルがエアコンの風に乗り他の人が感染したとみられる」と主張しています。具体的にはエアコンの風はCの家族の上を通っており、感染者Aの家族を通り過ぎB家族テーブルまで行き、C家族の元まで風が戻り感染が広まったと推定したとのこと。

ただ、この研究では現場実験は行っておらず、他の客を対象に抗体検査は実施されていなかったとのことで研究としては限界があると付け加えています。この抗体検査とはPCR検査とは異なり、過去に感染していたのかの有無を調査することができるというもので、感染者したものの既に治った隠れた感染者も見つけ出すことができます。

何れにしてもエアコンの風が対流する直線上に感染が広まっていたのは事実であり、研究チームは「レストラン内感染の重要な要因は空気の流れ」とし「飲食店で新型コロナウイルスを予防するためには、テーブルの間隔を広げ、換気を強化する必要がある」と指摘しています。