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人間が文化的な生活を送る上で必要不可欠なのはトイレです。時代と共に進化してきたトイレですが、人類が作った中で最も高価でかつ実用性のあるトイレは何かご存知でしょうか。今回は24億円という莫大な費用をかけて作られた宇宙で使用するトイレのお話です。

ユニバーサル廃棄物処理システム『UWMS』と名付けられたトイレ。アメリカ航空宇宙局(NASA)が2300万ドル、日本円で約24億円という費用をかけ作り上げたのは宇宙空間でも使用可能なトイレです。このトイレはアメリカ時間9月29日に、ノースロップ・グラマンが運用するアンタレスロケット収められ国際宇宙ステーションに届けられます。

NASA's new $23 million space toilet is ready for launch | Space

このトイレは国際宇宙ステーションに到着した後、微小重力環境下でどのように機能するのか試験されることになり、設置場所は同じくトイレが設置されている国際宇宙ステーションのノード3に置かれるとのこと。

国際宇宙ステーションには既にトイレが設置されているのですが、何のためにわざわざ運ばれるのでしょうか。最大の理由はNASAが今後実施する有人月面探査や火星探査にあります。NASAは将来、長期間宇宙に滞在する有人ミッションで使用するトイレを開発しており、国際宇宙ステーションという近い環境で長期間運用することができるのかその性能を確認するため宇宙飛行士により3年間のテスト使用が行われます。


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新型トイレの本体部分の大きさは高さが71cmあるといい、見た目のサイズとしてはキャンピングカーについているようトイレと同じようなサイズになっているとのこと。また軽さと消費電力を抑えた設計が取り入れられたといい、スペックとしては従来のトイレよりサイズは65%小さくなっており、重量も40%軽くなりました。

それ以外の変更箇所としては特に女性が排泄しやすいような形状となっている他、チタンを用いた宇宙飛行士の尿を回収し再利用するシステムも改良されています。

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現在、宇宙空間にあるトイレは仮に使用不能になり帰還する事態が生じたとしても1日もしないうちに地球に帰ることができます。しかし、月軌道や月面、そして往復500日もかかる火星など帰還するまでに相当な時間がかかる環境でトイレが壊れてしまっては宇宙飛行士の生命が脅かされる自体が生じる可能性も考えられます。

このように宇宙空間では人間が乗っている以上、トイレの故障は許されるものではないと考えられます。なぜ膨大な費用と『3年間』の時間をかける必要があるのか。これは今後の有人ミッションを成功せるために必要な投資と時間です。言い換えればトイレが原因でさらに高額で何年間も訓練を重ねたミッションが失敗する可能性もあるということです。

▼新型トイレがさ収められたシグナス補給船の与圧部分
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