Zumwalt-class destroyer

アメリカ海軍が建造したズムウォルト級ミサイル駆逐艦、この駆逐艦に関してBAEシステムズが開発した62口径155mm単装砲を2門備えているものの、将来的にこれを取っ払い原子力潜水艦に搭載されている複数円形収納筒(MAC)を搭載するように改装される予定だと報じられています。

米国海軍研究所(USNI)の発表として、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦(Zumwalt-class destroyer)に関して、IRCPS(Intermediate Range Conventional Prompt Strike、中距離コンベンショナル・プロンプト・ストライク)という直径34.5インチ(876mm)の極超音速で飛翔するミサイルを搭載する予定を今年始めに発表していたことに関して、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦に搭載されている垂直発射装置Mk 57というPVLS(Peripheral Vertical Launch System)に28インチ(710mm)サイズは収まりきらないとして別の案が発表されたとしています。

Path to Install Hypersonic Weapons on Arleigh Burke Destroyers Unclear - USNI News

記事によると、今回発表されたのはPVLSにこれを収めるのではなく、2門の62口径155mm単装砲を撤去し、アメリカの原子力潜水艦で運用されている従来型の複数円形収納筒(Multiple All-up-round Canisters、MAC)に置き換える予定だというものです。

▼巡航ミサイル原子力潜水艦に搭載された
Multiple All-up-round Canisters


複数円形収納筒(MAC)とは巡航ミサイル原子力潜水艦に搭載されているもので1つの弾道ミサイルを収める発射管に7発のトマホーク巡航ミサイルを収めることができるというもので、こちらもMk 57と同じように垂直にトマホークを発射するというものになります。

ただ、MACで運用される兵器は亜音速で飛翔するトマホークではなく極超音速兵器システムになるとしており、現時点で改装にかかるコストなどは示されていないとのこと。



ズムウォルト級ミサイル駆逐艦は駆逐艦としては非常に高コストの兵器であり現在2隻のみ建造され3隻目以降は建造が中止されました。加えて62口径155mm単装砲についても運用する専用の砲弾が1発1億円あまりという非常に高コストになり結果的に運用は限定的となっています。

このようなこともあり従来型のアーレイバーク級ミサイル駆逐艦に比べてもコストパフォーマンスは圧倒的に悪い状態で事実上米海軍としても失敗した兵器と位置づけられている可能性が極めて高いです。そこで、今後の使い道を探る上で極超音速兵器の運用を考えるというものになっており、先祖返りしたかのような155mm砲を用いて遠距離から敵地を攻撃するという従来運用方法は結果的に事実上撤回されているものと考えられます。