スペースポート・ジャパン_2

一般社団法人Space Port Japanはスペースポート(宇宙港)を中心とした都市『スペースポートシティ構想』として東京湾の沖合に浮かぶことを未来的なコンセプトを発表しました。

宇宙飛行士『山崎直子』氏が代表を務めるSpace Port Japan(スペースポート・ジャパン)は、日本国内にスペースポート (宇宙港)を開港することで広く日本の宇宙関連産業を振興するという目的から東京湾にアジア初の巨大な宇宙港を開港させるという構想を発表しました。

同法人のプレスリリースによるとスペースポートシティ構想(図)は、スペースポート・ジャパン、株式会社電通、canaria、noizの企画・監修のもと、スペースポート・ジャパン各会員のアイディアを集約し本構想図をまとめたものだとしており、宇宙へ飛び立つ基地という拠点という以外も内部にはホテルや美術館、ジム、水族館、映画館などが組み込まれています。

また同法人によると、東京以外にも複数の都市に同じような宇宙港を建設し広く航空宇宙関連産業を振興するとしています。

スペースポート・ジャパン_1

こちらがスペースポート・ジャパンがデザインした未来の宇宙港です。宇宙港内部には例えば宇宙食を提供するレストランを設置したり宇宙を体感できるプールを設けるなどいくつか案も紹介されています。

構想の実現性は…?

民間宇宙旅行については現時点で世界で唯一アメリカ国内企業だけで進められているもので、その計画も遅れに遅れようやく実現の一歩手前の段階まできました。スペースポート・ジャパンが主張しているように確かに将来的には宇宙産業の規模は現在の約40兆円から30年後には100兆円を超えると主張しているのですが、一方で日本は高コストのロケットの原因もあり波には乗り切れていません。

いくつかツッコミどころがあるのですが、そもそも現時点における民間宇宙旅行における費用を考える必要があります。このような宇宙港は当然民間人による宇宙旅行が中心産業になるということは明白です。またCGで描かれた宇宙港にもヴァージン・ギャラクティックの宇宙船が登場しており宇宙旅行が中心と考える必要があります。

その上で、現時点におけるヴァージン・ギャラクティックによる一人あたりの旅費は25万ドル、約2500万円です。このような状態で近い将来に宇宙港を実現できるのかというのは素人目にも相当な疑問があります。宇宙船に関わる技術に至っても日本はアメリカに比べ圧倒的に劣っており、国内でもスペースプレーン技術および民間宇宙旅行の開発は進められているそうなのですがこちらも実現の目処すら経っていない状態です。


今から50年前、旅客機を用いた海外旅行の費用は当時の高校生の初任給の40倍ほどあったとされ現在の価値からみても800万円相当です。これよりも高額な費用がかかる宇宙旅行が例えば数年後にいきなり10万、20万円で行けるような値段に下がるとは考えらません。現時点における巨大な宇宙港の開港というのは構想としては良いと思われるものの、現時点で民間宇宙旅行自体が始まっておらず需要がどの程度あるのかも不明瞭であるため現状ではまだまだ先の話しという印象を受けます。