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国内外の複数メディアによると、先日、中国南部広東省にある台山原発で何らかの原発事故が発生し放射能漏れが生じていると報じられていたことについて、中国側がようやくこれを認めたと報じています。ただし放射能漏れは無いと主張しています。

【北京時事】中国生態環境省は16日、広東省台山市の台山原発で放射性物質が漏れた恐れがあるとの米CNNの報道に関する記者問答をホームページで公表し、「いかなる放射能漏れも発生していない」と否定した。ただ、1号機で燃料棒の一部が破損し、冷却水内の放射線量が上昇していることは認めた。

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今回事故を起こし、それを隠蔽していたのは台山原発というもので、中国とフランスの原子炉製造会社「フラマトム」との合弁企業が建設したもので、原発の営業運転は中国国有企業側が中心的に行っているとされています。

そんな原発で事故があったと報じられたのは2021年6月14日でCNNなど海外メディアです。内容としては「建設と運転に協力するフランスの原子炉製造会社『フラマトム』が訴えていると報じた。問題解決のためにバイデン米政権に技術協力を求めているという」というもので14日より以前、少なくとも1週間以内の出来事だと考えられます。



なぜフラマトムがアメリカ政府に通報するようなことを行ったのかは不明なのですが、中国政府側はこの事故に関しては「現時点で、発電所と周辺の観測データは正常である」などと主張。フランス側が発表してるような事故は起こっていないと否定しました。
しかし、フランス側(フラマトム)によると『中国当局が原発の運転停止を避けるため、原発周辺の放射線量の許容値を引き上げたとする文書を米エネルギー省に送った』としています。これが意味するのか、考えられるのは①原発から環境への放射能漏れがあった②放射能漏れはなかったものの停止を恐れて事前に引き上げたの2つです。

そして、日本時間では6月16日に入ってからようやく中国政府が原発で事故があったことを認めました。それは燃料棒の一部が損傷したというもので、損傷したものは5本前後としているもののその数は正確に把握はしていないと考えられます。


またフランス側は当初「原子炉1号機の1次回路内で、希ガスの濃度上昇」があったと発表していたのですが、結果的にこれも正しく、中国側も「1号機で燃料棒の一部が破損し、冷却水内の放射線量が上昇していることは認めた」と報じられています。ただ一次冷却は原子炉内を循環しているもので環境へ漏れ出た可能性はないと考えられるのですが、これに関しても中国側は「原子炉の密閉性は要求を満たしており、周辺への漏えい問題は存在しない」と主張しています。

この燃料棒が損傷するという事故については頻度は多くは無いものの発生しうる事故らしく、そのような状況下でなぜフランス側が『緊急の脅威』などとアメリカ側に通報したのかは不明です。考えられることとしては、フランスの原子力企業フラマトムはフランス電力の子会社であり、中国側がその発表をしないことについて自らもそれに加担していると国際社会に判断されることを警戒した可能性があります。