ブルームーン_1

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、有人月面探査における着陸船開発にスペースXを選定したことを受けて、訴訟を起こしたブルー・オリジンが原因で一連の探査が今後遅れると発表しました。

2021年4月、アメリカを中心に再び有人月面探査を行うとしてその着陸船をいったいどの企業が行うのか選定結果を発表しました。その結果、スペースXのスターシップ案が選定されました。一方、それに応募し敗れる形になったのはアマゾンの創設者がジェフ・ベゾスが設立したブルー・オリジンを中心としたナショナルチームですが開発したブルームーンという機体です。

▼選定されたスペースXの月面着陸船(左)、ブルー・オリジン案は右側
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しかし、この結果についてブルー・オリジンのジェフ・ベゾスがスペースXに、28億9000万ドル(約3160億円)の月着陸船の製造を独占的に発注したことが不当だなどと難癖をつけNASA相手に訴訟を起こしました。

なぜこのような対応にでたのか。詳細は不明ですが月面着陸船開発について、NASAは複数の委託先に発注すると述べていたそうです。しかし、今年4月の選定では資金面の制約を理由にスペースXのみに委託先を絞りました。その結果、ブルーオリジンと同じく応募していたダイネティクスが却下となりました。
この判断についてブルーオリジンはNASAの決定に異議を唱えたものの、米国政府会計検査院は2021年7月にNASAの決定は「合理的」だと判断し同社の抗議を退けていたものの、ブルー・オリジンはこれも不服だとして結果的に訴えたとしています。

▼ブルー・オリジンの月面着陸船(ブルームーン)アニメーション


現在NASAは2024年中に人類を再び月に戻すとして計画を進めているものの、今回ブルー・オリジンが訴えたことでこの計画も遅れるだろうと発表しています。

ちなみに今回の選定ではスペースXがその課程で月面着陸船の開発にあたってはその一部を自己負担で行うという魅力的な案を提示していたことも選定された理由だといわれています。当然ブルー・オリジン側はそのような提案はしてませんでした。
しかし、選定が終わりスペースXが一部を負担すると知ったブルー・オリジンは「俺たちも一部負担する」などと言い始め、今回の訴えという行動にでました。

参考