image_152

アメリカで運用されている宇宙船。現在唯一スペースXのクルードラゴン宇宙船があるのですが、実はもう一つ、NASA以外の民間企業が開発しているものとしてボーイングの『スターライナー』があります。ただ、現在も開発が終わっておらず、2回目の打ち上げ更に遅れると報じられています。

今年7月30日に打ち上げられるはずだったボーイングが開発中の宇宙船『スターライナー』。しかし、サービスモジュールのバルブ問題が発覚し打ち上げ延期されました。それから2ヶ月あまり経過しているものの、この問題が現在も解決されていないらしく、NASAによるとOFT-2というスターライナーの2回目の打ち上げ試験は2022年以降に行われる可能性が高いと話しているそうです。

Boeing's next Starliner test launch for NASA may slip to 2022 | Space

この話はHEOMDというNASAの有人探査および運用ミッション局の責任者が記者団に語ったもので「おそらく私の直感として打ち上げは来年になる可能性が高い。ただ、なるべく早く試験できるようにそのタイムラインで動いている」と話しています。

スターライナーのバルブ問題については詳細は記載されていないのですが、どうやら修理がかなり難しいものという印象があり、記事では「スターライナーに別のサービスモジュールを配置するか(つまりバルブではなくモジュール全体を交換するか)、現在のサービスモジュールの修正(バルブのみの修理)を続行するかを評価している」と話しており、この決定についても数週間かかるとのこと。「いままで2ヶ月間何をしていたんだ?」という印象もあるのですが、そのような状態だといいます。

ちなみに、この2回目の打ち上げは当初2021年3月に予定されていました。

やはり遅れるアメリカの有人宇宙開発見

アメリカにおける現在の宇宙船開発について簡単に紹介すると、スペースシャトルが現役だった時代に後継機としてオリオン宇宙船を開発していました。しかしロケットの開発やオリオン宇宙船(ロッキード・マーティン)の開発が年単位で遅れ、スペースシャトルの引退に間に合わないどころか、現在もオリオン宇宙船は完成していません。

そこでアメリカは「国際宇宙ステーションが周回するような低起動の人の打ち上げは民間企業にやらせよう」という話しになり開発資金を渡し、現在に至ったのがスペースXのクルードラゴン宇宙船とボーイングのスターライナーです。

クルードラゴンについては既に運用されている状態で、先日も民間人のみの宇宙飛行を成功させるなど頭角を現しています。一方で昔からNASAに携わっていたボーイングの宇宙船がこの遅れという状況になりました。ちなみにボーイングの1回目の打ち上げは事実上失敗となっています。



結局のところ巨大企業が開発する機体が遅れに遅れ、新興企業がささっと完成させて運用していることを考えると、組織の構造的な何かに問題があるような気もするのですが、スターライナーをはじめオリオン宇宙船もいったいいつになったら運用が始まるのか。NASA内でも「もうスペースX一択でいいじゃないのか?」という雰囲気も出ている可能性があります。