クラ運河

物流を大きく変える運河。これは小さいものは日本国内、大きいものは大陸間を切り分けるようなものもあるのですが、東南アジア『マレー半島』に予てより構想されていたクラ運河に関して中国が興味を示していると報じられています。

マレー半島のくびれにあるクラ地峡がにわかに注目を集めている。当事国タイをはじめとする新興アジア諸国の思惑とこの地域に影響力を強める中国の存在。クラ地峡に東西をつなぐ交易路を建設する構想は、地政学的変化をもたらすものとして米中大国も関心を示す。運河か、ランドブリッジ(陸路輸送方式)か、今後の進展に注目したい。

Record China
スエズ運河、パナマ運河…大きい運河としてはこの2つが有名ですが、この世界の物流の根幹を支える船による輸送は運河の存在でさらに効率が高まるのですが、今回中国が注目しているのはクラ地峡というタイのマレー半島にある地域です。

ここに運河を建設することで物流を変えようという案は調べてみると今に始まったものではなく、記事にも1970年代に米、仏、タイ、そして日本が参加した国際チームが参加し調査が行われたもののタイ国内の政権が変わったことやその莫大な建設費、建設技術が問題となり実現しませんでした。

規模はどのくらいになるのか。これは諸説あるのですが全長102kmで幅は400mというかなりの運河になります。一方、現在はマレーシアの先端を経由しマラッカ海峡を超えてインド側に出ており仮にクラ運河が建設されると1200kmほど距離を短縮でき、この海域を通過する日数も2~5日ほど短縮できると見積もられました。

記事によると実際のところ中国およびタイが関心を示していたとされているのですが、これに関しては既に否定されているらしく2015年時点で両政府が建設を否定したとのこと。理由についてはやはり技術的な問題、政治的な問題、そして費用対効果にあるとされており記事では仮にこれが建設されたとしても、スエズ運河、パナマ運河のような大回りにはならないため、「運河に入るための待ち時間や通航料を考えると利点が少ない」と説明されています。