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NASAは2025年以降、つまり国際宇宙ステーションの事実上の退役に合わせ次の活動拠点としているのは月の軌道上に建設されるゲートウェイ(LOP-G)と呼ばれる小型の宇宙ステーションです。この初期のモジュール打ち上げに関してNASAはスペースXのファルコン・ヘビーを用いて一度に2つのモジュールを軌道に送ると発表しました。

今月10日、NASAの公式発表として月軌道上に建設することが決定されているゲートウェイと呼ばれている小型の宇宙ステーションに関して、その基本要素となるモジュールPower and Propulsion Element(PPE、電力・推進要素)とHabitation and Logistics Outpost(HALO、居住モジュール)に関して、この2つを地上結合した状態で2024年5月までにスペースXのファルコンヘビーを用いて一度に打ち上げると発表しました。

NASA Awards Contract to Launch Initial Elements for Lunar Outpost | NASA

この打ち上げにかかる費用はその他のミッション費用を含めトータルで3億3180万ドル(約318億円)としています。

▼PEE(右側)とHALO(中央)を接続したイメージ
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この2つはゲートウェイを構成するとても最も重要な構造で、当初2機のロケットを用いて個別に打ち上げ軌道上でドッキングさせるという方法が進められていました。具体的には2019年時点でNASAは2022年にPPEを、2023年にHALOをそれぞれ打ち上げる予定でした。

その後、リスク削減と打ち上げ費用の削減などを理由に2023年に民間ロケットを使用し両方のモジュールを1回で打ち上げることに決定。ただ、現地点では打ち上げ計画は2023年から2024年5月までに若干延期される形となっています。

PPEは重量が8~9トンあるモジュ―ルで元々は小惑星から数トンのサンプルを月軌道に運び研究するという概念で設計されたものを転用したものです。スペックとしては50キロワットクラスのイオンスラスターを稼働させる太陽光発電能力があり、ゲートウェイ内の電力を生み出すことで居住モジュールの電力を確保します。PPEはコロラド州ウェストミンスターのマクドナルドテクノロジーズにより製造されています。

そしてPPEの前方に接続されるのはHALOというモジュールです。打ち上げられた宇宙飛行士の居住モジュールとなり4名を少なくとも30日間滞在できるよう設計されています。現在の予定ではHALOモジュールの先にさらに国際居住モジュール(I-HAB)を接続する予定です。HALOはバージニア州ダレスのノースロップグラマンスペースシステムズにより製造されています。

▼地上におけるHALOモジュールのモックアップ
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ゲートウェイはサイズとしては国際宇宙ステーションの1/6程度の大きさがあります。