M109A

アメリカで開発が進んでいるERCA(Extended Range Cannon Artillery system、拡大射程砲)に関して今月、地平線のはるか向こう側となる70km離れた目標に砲弾を命中させることができたと報じられてます。

アリゾナ州ユーマプルービンググラウンドで行われたのはM109A7パラディンを改造する形でおこなれた長射程の砲撃試験です。この試験ではM109A7パラディンの砲身を39口径(砲弾直径155mmの39倍の長さ)から58口径のものに置き換えられました。

Army long-range cannon gets direct hit on target 43 miles away

これに新砲弾であるレイセオン製のエクスカリバー誘導砲弾とジェネラル・ダイナミクスのXM1113に搭載されたロケット推進剤を組み合わせた砲弾M982 エクスカリバー インクリメントIa-2を用いることで射程を劇的に伸ばすことができたとしています。

今回の試験では合計3射行っており、結果として1発目は高高度で強い向かい風が生じ100m手前に落下。2発目は搭載されたハードウェアに故障が生じて失敗。3発目の砲弾で適切に調整が行われ70km飛翔することができたとしています。

M109A_1

米陸軍では通常の車両と新たに開発した砲身と砲弾を使用することで長射程の砲撃を可能とするシステム開発を行っており必要な砲弾の初速、砲弾が耐えられるチャンバー圧力、推進剤の適切な組み合わせを研究し今回の試験に取り組んだと話しています。

米陸軍は今年の3月にも同様の試験を行い65kmの射程となっていました。

▼M982 エクスカリバー誘導砲弾。これにロケット推進が搭載されたインクリメントIa-2が用いられた
M982 エクスカリバー

また今回の砲撃試験では70km離れたターゲットに直接命中することができたとしており、砲撃による精密攻撃能力の確保に一歩近づいたということになります。ちなみに何故ミサイルではダメなのかという点については、ミサイル搭載された様々なセンサーが妨害を受けやすくそれに比べると砲弾は妨害に強く確実に敵を仕留めることができるとという利点があるとしています。

▼2020年3月の試験を解説する動画