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(この記事は2011年12月17日に投稿したものです)
プーチン首相(当時)は今月15日、テレビ会見で「日本までトンネルを建設することも可能で、われわれは検討中だ」と述べていたことが明らかになりました。今回は欧州から日本まで鉄道で直接結ぶというプーチン氏の構想について紹介していきます。

この発言は、プーチン首相が国民と行ったテレビ会見で述べたものです。極東のタタール海峡(間宮海峡)に架橋して本土からサハリンへ鉄道を通す計画に関し「(サハリンから)日本までトンネルを建設することも可能で、われわれは検討中だ」とし「シベリア鉄道を日本の貨物で満載することにつながる」と期待感を示したとのことです。

ただし、外交筋では「日露政府間で検討している事実はない」としています。

過去にもあったこんな計画
日本とロシアを鉄道で繋ぐという話なんですが、調べてみると数年前から計画があったようです。

参考:間宮海峡トンネル建設+改軌で樺太の鉄道がロシア本土に直結される計画の目的は何か? - 国際情勢の分析と予測

ユーラシア大陸横断鉄道:栢洲世策考廠 - AOLダイアリー 2004/10/1

ユーラシア横断鉄道構想というものがある。

これはシベリア鉄道を軸とした構想で、樺太島内の鉄道を1520mmに広軌化し、最狭部が5km程度しかない間宮海峡下に海底トンネルを敷設、アムール川河口からコムソモリスク・ナ・アムーレまで新線を建設し、バム鉄道・シベリア鉄道に繋ぐというものである。更にこれを、宗谷海峡下に海底トンネルを建設した上で、日本国内と欧州を直接結ぶという野心的な構想である

シーパワーとランドパワーの違い・差異の大きな要因の一つは、その輸送力の違いである、ということを考えれば、シベリア鉄道の近代化は想像以上の波及効果を期待できる事業だろう。アメリカのある銀行はこの構想に対して「金額上限なし」での融資を決定したという。今後本格化するシベリアでの天然資源の開発と有力な市場である日本と結ぶこの計画には投資先として大いなる魅力があるのだろう。過去に間宮海峡トンネルの話は一度流れたことがある。しかし、第2次プーチン政権はこの構想を復活させたという。


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こちらのページには今回プーチン首相が述べた構想の内容かどうかわかりませんが、近いものが書かれています。ページ内では筆者の意見として「両国を直接結ぶ意義はあまり無い」と述べています。理由は幾つか挙げられています。
  1. 日本とロシア(欧州)鉄道の規格の違い。
  2. 国境の通関の存在
  3. 日本海を利用した海運の安さ

その上で「何故このような構想が生まれたのか」という点について、
  1. 日本政府との密約でシベリア鉄道規格の貨物輸送鉄道の日本への延伸が決まっているか、あるいは現在交渉中である。
  2. 本土と樺太を結ぶ鉄道連絡船の費用や、樺太の鉄道が本土と規格の異なることによる余剰経費の削減。 
  3. 樺太を鉄道で本土と一体化することで、カムチャッカやマガダンなどへの海運の拠点を沿海州から樺太に移し、海運の費用を削減する。 
  4. 樺太を鉄道で本土と一体化することで、中国軍が中露国境を越えて侵入してきた際の極東地区の住民の避難先として確保する。樺太南部のユジノサハリンスクをロシア東部地域の首都、あるいは臨時首都候補として整備する。

この中でも「住民の避難先として確保する」という説を最も有力とし、「中国の脅威を考慮して、中露国境から離れた地域に拠点を置き本土と鉄道で直結するのは合理的である。最悪の場合は極東のロシア人は樺太の橋頭堡に脱出して日本の支援の元に本土奪還の機会を待つこともできる。」としています。

参照元:Yahoo!ニュース