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アメリカ、ミシガン湖に70年間も眠っていたのは第二次世界大戦時に使用されていた戦闘機です。最近、引揚業者により回収に成功し、今後修復され展示される予定だといいます。

アメリカ、五大湖の1つ『ミシガン湖』の湖底で眠っていたのは、第2次世界大戦当時の戦闘機「FM-2ワイルドキャット」です。引き上げられた戦闘機は艦載機として使用されていたもので、大戦当時、ミシガン湖に浮かべられたアメリカ海軍の空母からの離着艦訓練が行われていたといいます。

1944年12月28日、アメリカ海軍の航空母艦セーブルから飛び立とうとしていたのはウィリアム・フォーブス(William Forbes)少尉が操縦するFM-2ワイルドキャット。しかし、離陸時にエンジンが停止するというトラブルが発生しそのまま空母の船首から転げ落ちるように海に沈んだと記録が残っていたそうです。パイロットは負傷しながらも救助されています。

戦争が終わり約70年が経った現在、この時沈んだFM-2ワイルドキャットの引き上げを行ったのはA&T Recovery社です。責任者のタラス・リセンコ氏は10代のころからミシガン湖に眠る過去の遺物について関心があったとし、「航空機が眠っているとわかってからは、位置を特定する調査を進めていた」と語っています。

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2012年12月7日、当時の事故報告書から難しい墜落位置の特定しFM-2ワイルドキャットの引き上げに成功しました。「ほぼ当時の原型をとどめている。修復すれば飛べるかもしれない。そんな無理な期待を抱くほどだ」とリセンコ氏は話しています。引き上げられた戦闘機に付いていた車輪も健在で、なんタイヤの空気は抜けていませんでした。

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ミシガン湖には歴史的に重要な航空機が多数沈んでおり、A&T Recovery社は国立海軍航空博物館の運営母体から引揚作業を請け負っているとのこと。1980年代の会社設立以降、約40機を引き揚げに成功しています。リセンコ氏によると、1940年代には100機以上の訓練機が墜落して湖に沈んだという記録があるとのことです。

これだけ多くの航空機が墜落した理由としては、実戦で酷使された老朽機が新人パイロットの訓練に当てられており、通常よりも小型の空母から離着艦しなければならなかったことも事故が増えた原因だとしています。また激しく波立つミシガン湖では厳しい訓練だったはずだとリセンコ氏は語っています。

FM-2ワイルドキャット



アメリカ合衆国のグラマン社が開発、第二次世界大戦中に使用された艦上戦闘機『F4F』。愛称はワイルドキャット。FM-2シリーズは空母での運用に対し最適化されたXF4F-8型試作機をゼネラルモータース(GM)が生産した機体になります。
FM-2ワイルドキャットは主に護衛空母に搭載され、上陸作戦における低空支援任務や特攻機の迎撃に活躍。本型では従来型にあった着艦時の癖がなくなり、狭い護衛空母への着艦が多い乗員には好評だったとされています。1942年11月8日に初飛行後、FM-2ワイルドキャットは短期間に4,127機が生産されました。

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写真:1942年米空母ワスプ甲板に並べられたワイルドキャット

参考:National Geographic