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13年ぶりに自分の思うがままに『手』を動かすことができたジャン・シャーマンさん。脳に2つのセンサーを埋め込み、ロボットアームを操作するという実験がアメリカ、ピッツバーグ大学で行われました。

ピッツバーグ大学のアンドリュー・シュワルツ氏率いる研究者は、思考によってロボットを操作して、板チョコを掴むことに成功しました。この実験に参加した被験者はジャン・シャーマンさん(53)。シャーマンさんは30歳の時に一種の脊髄小脳変性症と診断され、その後徐々に体が動かなくなり現在は首から下は完全に麻痺している状態だといいます。

そんなシャーマンさんの脳に埋め込まれたのは2つのセンサーです。16平方ミリメートルの大きさのセンサーには数百の小さな突起がついており、ニューロンによって生み出される電気信号を読み取ることができるといいます。この電気信号は「ブレイン・マシン・インターフェイス」により処理され最終的にロボットアームに伝わり、まるで自分の手のように動かすことが可能だといいます。



ロボットアームによって成し遂げられた動きの質について、これまで研究レベルで作られたどの装置よりもスムーズに、さらに早く動いたことから「この技術が脊髄に損傷のある人々のための治療法になるという、納得のいく証拠だとわたしは考えています」とシュワルツ氏は述べています。

現在ロボットアームは研究室でしか使用できず、今後シャーマンさんの車椅子に取り付け彼女が家でも使えるようにしたいと考えているそうです。またロボットアームに触覚も追加し、動きと物を掴む能力をより細かく制御できるようにしたいとしています。

参考:WIRED