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中国では新たな都市の開発や再開発が頻繁に行われているんですが、一方で歴史的な建造物が邪魔だと言わんばかりに次々と破壊されています。今回は西安にあるという皇帝の墓がその対象になってしまったようです。

無計画な都市の開発でゴーストタウンと化しているところも少なくないという中国。違法とも言える立ち退きも相次いでいます。文化財に指定されている建造物も壊されているのは事実で、そこにマンションが作られるというのはよくある話です。

中国、陝西省西安市長安区。ここには『明の十三陵』と呼ばれる皇帝、后妃の陵墓群が存在します。明の十三陵は北京が有名なんですが、西安にあるものも比較的規模が大きく国家級保護文化財に指定されています。いずれも明代(1368~1644年)の皇帝13人の墳墓で、その他50カ所あまりの王家関連の墳墓が点在しているとのことです。

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そんな歴史的な建造物が「破壊されそうになっている」と通報したのは地元住民です。現場では遺跡を守るために立てられた塀の一部が破壊され、後に作られた石像は捨てられた土に埋まり、傾いていたといいます。
これら住民らの指摘について同市長安区の現地政府は、「付近に積まれていた土は元々大した量ではなく、遺跡の塀から離れた場所に置かれていたものだ」と説明しています。その上で「何者かが土を移動し雨が降ったことで、土が崩れ塀が損壊した」と分析しているそうです。
また、土に埋まり傾いた石像については、「傾き自体は自然にできたもので修復には関連部署の許可が必要。土の撤去には3カ月程度かかる」とも説明しているそうです。

消える歴史

歴史について人一倍口を挟んでくる国、中国。しかし、歴史的な建造物を保護するという意識は極めて低く、目先の利益のため躊躇なく取り壊されています。
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写真:魯迅邸

北京市中心部にあったのは文豪、魯迅邸。しかし、都市再開発プロジェクトにより魯迅邸があった胡同(フートン)と呼ばれる地区が取り壊しされることになりました。地元住民が保護を訴えたものの区側は「文化財指定などを受けておらず、保護対象になっていない」と主張。魯迅邸があったところは緑化用地になるとのことです。
中国で2009年に行われた第3回全国文化財調査では、過去30年に消失した4万点を超える移動不可能な文化財のうち、半数以上が建築・土木工事で壊されていたと報告しています。理由としては、工事着手前に埋蔵文化財の有無を怠る地方政府や企業が後を絶たず、住宅地や観光地の開発のため、貴重な文化財が破壊されてしまうケースが多いとのことです。

参考:Record China