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熱水噴出孔から出てくるのは人類が欲しくてたまらない金属―。採掘技術の発展でこれまで難しいとされた資源を摂ることができるようになった現在、次に目をつけているのは海底です。米国海洋大気庁などによると、採掘可能な金だけでもなんと全人類に4kgほど配る量、約1京4000兆円相当が眠っているとしています。

鉱物需要の高まりに伴い幾つかの企業が行おうとしているのは深海の鉱物開発です。

海底の鉱床はさほど見つけにくいものではなく、目印として熱水噴出孔が金属や鉱物を豊富に含む熱水を噴き出しているといいます。この『海の間欠泉』は摂氏600度を超す熱水を噴出しており、熱水が冷たい海水にぶつかると、熱水に含まれる鉱物が落下して海底に沈殿。これらが層となった海底熱水鉱床に存在する有用鉱物の量は陸の地層から採掘される量の10倍にものぼる可能性があると言われています。

参考:深海熱水噴出孔
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地熱で熱せられた水が噴出する割れ目のこと。熱水噴出孔は海底でもよく見られ、上の写真は海水と反応して黒色に見えることからブラックスモーカーと呼ばれています。ブラックスモーカーは300度以上の熱水が吹き出すことが特徴で、鉛・亜鉛・銅・鉄などの硫化物が多く含まれています。これ以外にも低温のホワイトスモーカー(硫黄・硫酸塩鉱物)、沖縄ではブルースモーカーが発見されています。

実際にどの有用鉱物をどの程度含むかは熱水系によって異なるものの、米国海洋大気庁(NOAA)国立海洋局(NOS)によると、深海には地球の全人類に1人4キロずつ行きわたるほどの採掘可能な『金』が眠っているとみています。これは現在の金価格にして150兆ドル(約1京4000兆円)以上の価値に相当する量になります。

2012年、パプアニューギニア政府は、太平洋南西部ビスマルク海の同国沖30キロ地点にある海底で、20年間の採掘権をノーチラス社に付与しました。同社はソルワラ1と呼ばれるこの鉱区を、既存の海洋油田やガス田技術に最新の海中ロボット技術を組み合わせ、年間推定130万トンの鉱物を採掘する計画です。

同海域には数億ドル相当の銅、亜鉛、金の鉱床が存在が確認されており、深海採掘事業としては世界初の試みになります。

気になる環境への影響

やはり気になるのは周辺環境に与える影響です。採掘に至っては新たな採掘技術の開発や巨額の資金が必要なほか、採掘の際に有害な重金属が発生するため環境保護論者、漁業従事者、沿岸住民の懸念といった多くの課題をクリアしなければならない現実があります。 また、海底の熱水噴出孔周辺には驚くことに生物が豊富に存在しており、これらの生物のコミュニティが危機に瀕する恐れがあると指摘されているといいます。

日本の取組み



独立行政法人海洋研究開発機構の海底資源研究プロジェクトでは、水深1,000メートルの位置で海底に穴を開け人口熱水噴出孔を作り回収するという研究を行なっています。研究では11ヶ月で長さ8mのチムニーと呼ばれる煙突のような構造物ができ、これを分析したところ銅、亜鉛、鉛、金、銀などの含有率が高い黒鉱だったことが分かりました。

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写真:人口熱水噴出孔で作られたチムニーから採れた黒鉱

人工的に熱水噴出孔を作り鉱物を持続的に回収するという方法については特許申請しており、今後、海底熱水域における有用鉱物資源を利活用するための基盤構築に大きく寄与することが期待されるとしています。

参考:National Geographic,JAMSTEC

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